[白文]6.曾子曰、可以託六尺之孤、可以寄百里之命、臨大節而不可奪也、君子人与、君子人也。
[書き下し文]曾子曰く、以て六尺(りくせき)の孤を託すべく、以て百里の命を寄すべく、大節(たいせつ)に臨みて奪うべからず。君子人(くんしじん)か、君子人なり。
[口語訳]曾先生が言われた。『六尺の小さな孤児を預けることができ、方百里の大国の摂政を任せることができ、重大な事柄に臨んではその志を奪うことが出来ない。これが君子らしい人物であろうか、いや、これが君子らしい人物であるに違いない。』
[解説]曾子が理想とした君子の徳行のあり方を具体的に述べた部分である。つまり、幼い孤児の面倒を進んでみるほどの仁愛を持っており、大国の政治を動かせるほどの勇気と智謀を持っている人物、更に重大な局面において強靭な意志を維持できる人物が、君子と呼ぶに相応しい人物なのである。