安能 務(あのう つとむ、1932年10月12日 - 2000年4月、生年は1922年、1925説もあり)は日本の小説家。
日本統治時代の台湾生まれ、香港大学卒。詳細なプロフィールは公表していない。1980年代後半より古代中国を舞台にした歴史小説を発表した。代表作は『封神演義』『隋唐演義』『三国演義』など。
それらは題名からして翻訳のように見えるが、著作の多くは原著者名の標記はなく、底本(タネ本と呼んでいる)に批判・薀蓄を組み込んでリライトした小説である。作者自身は各作品の前書きにそれらの点について記載はしているが、意図と裏腹に多くの誤解を生んだ。中国文化評論『八股と馬虎』の「あとがき」では、彼の著作について「一次資料」や「客観性」への疑問を提起した上で(最初から客観性をほとんど考慮しておらず)自分の意見を述べるしかない、読者は数ある意見の一つとして受け取ってほしいと記している。