福島県南相馬市では、東京電力の福島第一原子力発電所の事故で「緊急時避難準備区域」に設定された区域に、介護が必要なお年寄りなどが多数とどまっていて、連日、医師による訪問診療が続けられています。南相馬市によりますと、この区域では、病院に1人で通えないお年寄りや介護が必要なお年寄りなど、およそ140人が自宅にとどまっているということです。
南相馬市では、これまで「屋内退避」とされていた地域の多くが「緊急時避難準備区域」に設定され、政府は、妊婦や子ども、それに介護が必要な人などは入らないよう呼びかけています。しかし、市によりますと、この区域では、病院に1人で通えないお年寄りや介護が必要なお年寄りなど、およそ140人が自宅にとどまっているということです。このため、13日は、長崎県から応援に来ている医師や看護師が自衛隊の車両に乗り込んで、お年寄りの家を1軒1軒回りました。医師らは、体調に変化がないか確認したり、薬が不足していないか尋ねたりしていました。このうち、1人暮らしの佐藤定光さん(69)は、肺気腫を患い、常に酸素吸入を続けることが必要だということですが、「周りの人に迷惑をかけたくないので、避難所に行くつもりはありません」と話していました。診療に当たった岩崎義博医師は「避難するように求めても応じられない高齢者がいることを前提に、サポート態勢を充実させることが必要だ」と話していました。