ペルシャ湾の島国バーレーンで、イスラム教シーア派による反政府デモを弾圧してきた政府は、ことし3月に出した非常事態令を来月1日に解除すると発表しましたが、強硬な姿勢は緩めておらず、事態の打開につながるかどうかは不透明な情勢です。
バーレーンでは、チュニジアなどの政変に触発された多数派のイスラム教シーア派が、ことし2月に少数派のスンニ派の王族支配に対する抗議デモを始めましたが、3月に入って政府が非常事態令を出して弾圧に乗り出し、これまでにシーア派市民20人以上が死亡、400人以上が逮捕されています。こうしたなか、ハマド国王は8日、反政府デモを強制的に取り締まる法的な根拠としてきた非常事態令を来月1日に解除すると発表しました。これを受けて現地では、一部で歓迎する声も上がっていますが、バーレーン政府は、デモの鎮圧にあたっていた治安部隊の隊員が死亡したことに関連して、シーア派の市民4人に死刑を言い渡すなど、強硬な姿勢を緩めておらず、事態の打開につながるかどうかは不透明な情勢です。バーレーン情勢を巡っては、サウジアラビアをはじめとしたスンニ派の周辺4か国が、反政府デモをきっかけにシーア派のイランの影響力が湾岸地域で拡大することをおそれて、バーレーンに合同部隊を派遣し、これに強く反発したイランが相手国に駐在する大使を召還するなど周辺国も巻き込んだ宗派対立が激しさを増していました。