東京電力福島第一原子力発電所の事故で、村の全域が「計画的避難区域」に指定され、休業を決めた福島県飯舘村の酪農家が、9日、乳牛を処分するため食肉処理場に送り出しました。
福島県飯舘村に11戸ある酪農家は、牧草から国の基準を超える放射性物質が検出されるおそれがあるなどとして、すべてが休業し、飼育している乳牛のうち搾乳できる可能性が低い牛を処分することを決めています。40年余り酪農を営んでいる中島好元さん(67)と妻の洋子さん(63)は、9日、食肉処理場に出す6頭の乳牛から最後の搾乳を行い、1頭1頭丁寧に体の汚れを落としました。そして、「ずっと一緒にいれなくてごめんな」と牛に声をかけながらトラックの荷台に運び、泣きながら見送りました。中島さんは「原発が憎いです。牛と一緒に過ごしてきた生活が壊され、残念でなりません」と話していました。また、洋子さんは「子どものように愛情を注いできた牛を処分するのは本当に悲しいです」と話していました。村の酪農家の組合は、今後、乳牛の処分を進めるとともに国や東京電力に補償を求めていく方針です。