A:徳川幕府のなかで一番上にいたのは将軍ですが、将軍の毎日の生活についてはあまり知られていませんね。
B:ええ、テレビや映画で将軍がよく出てきますが、朝、起きてから夜、寝るまでどんな生活をしていたかあまり問題にされませんね。江戸時代の初めの頃のことはわからないんですが、江戸時代の終わり頃の将軍の生活はだいたいわかっています。
A:朝は何時頃起きたんですか?
B:6時頃です。
A:ずいぶん早いんですね。
B:ええ、前の夜少しお酒を飲みすぎたから、もう少し寝たいと思っても、家来が毎朝、6時頃起こしに来るんです。
A:起きてすぐ御飯ですか?
B:いいえ。髭(ひげ)をそってもらったり、髪を結ってもらったりします。髪を結ってもらっている間に、医者が10人も来て将軍の体を調べるんです。
A:10人もですか?
B:ええ、そうです。
A:朝食は何時頃ですか?
B:だいたい8時頃です。髪を結うのに時間がかかるので、髪を結わせながら御飯を食べたんです。
A:その後はどうするんですか?
B:午前中は、将軍の勉強の時間です。講義を聞いたり、歴史の本を読んだりします。読書がすむと、武術の修行です。
A:その後昼御飯ですか?(B:ええ。)昔は一日に二回しか御飯を食べなかったそうですが、、、。
B:ええ、そうです。三回食べるようになったのは江戸中期からですから、江戸時代の初めの将軍達はたぶん二回だったでしょう。江戸末期の将軍達は三回でした。
A:そうですか。午後も勉強ですか?
B:いいえ。午後は幕府の仕事をしました。
A:では、ゆっくりする時間はなかったんですか?
B:仕事が早く終わった時は、馬に乗ったり、絵を描いたり、自分の好きなことをしたそうです。
A:晩御飯は何時頃ですか?
B:だいたい6時頃です。その後は10時に寝るまで、自分の好きな事をしたようです。
A:では今の日本のサラリーマンで夜遅くまで仕事をしている人と比べたら、ずっといい生活のようですね。
B:どうでしょうか。何をする時でも誰かが必ずいつもいましたからねえ。自分一人だけで何かしたいと思っても自由にできませんでしたから、どっちがいいかわかりませんねえ。
☆ 次の質問に答えなさい。
1.将軍は起きてから朝食を食べるまでの間にどんなことをしてもらいますか。
2.将軍は午前中どんなことをしますか。
3.将軍の食事は昔から一日三回でしたか。
4.将軍は午後も勉強ですか。
5.将軍には自由なことをする時間が全然ありませんでしたか。