日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 岛崎藤村 » 正文

破戒13-2

时间: 2017-06-03    进入日语论坛
核心提示:       (二)『始めまして――私は高柳利三郎です。かねて御名前は承つて居りましたが、つい未(ま)だ御尋(おたづ)ね
(单词翻译:双击或拖选)
        (二)
 
『始めまして――私は高柳利三郎です。かねて御名前は承つて居りましたが、つい未(ま)だ御尋(おたづ)ねするやうな機会も無かつたものですから。』
『好く御入来(おいで)下さいました。さあ、何卒(どうか)まあ是方(こちら)へ。』
 斯(か)ういふ挨拶を蔵裏の下座敷で取交して、やがて丑松は二階の部屋の方へ客を導いて行つた。
 突然な斯の来客の底意の程も図りかね、相対(さしむかひ)に座(すわ)る前から、もう何となく気不味(きまづ)かつた。丑松はすこしも油断することが出来なかつた。とは言ふものゝ、何気ない様子を装(つくろ)つて、自分は座蒲団を敷いて座り、客には白い毛布を四つ畳みにして薦(すゝ)めた。
『まあ、御敷下さい。』と丑松は快濶(くわいくわつ)らしく、『どうも失礼しました。実は昨晩遅かつたものですから、寝過して了(しま)ひまして。』
『いや、私こそ――御疲労(おつかれ)のところへ。』と高柳は如才ない調子で言つた。『昨日(さくじつ)は舟の中で御一緒に成ました時に、何とか御挨拶を申上げようか、申上げなければ済まないが、と斯(か)う存じましたのですが、あんな処で御挨拶しますのも反(かへ)つて失礼と存じまして――御見懸け申し乍ら、つい御無礼を。』
 丁度取引でも為るやうな風に、高柳は話し出した。しかし、愛嬌(あいけう)のある、明白(てきぱき)した物の言振(いひぶり)は、何処かに人を(ひきつ)けるところが無いでもない。隆とした其風采(なりふり)を眺めたばかりでも、いかに斯の新進の政事家が虚栄心の為に燃えて居るかを想起(おもひおこ)させる。角帯に纏ひつけた時計の鎖は富豪の身を飾ると同じやうなもの。それに指輪は二つまで嵌(は)めて、いづれも純金の色に光り輝いた。『何の為に尋ねて来たのだらう、是男は。』と斯う丑松は心に繰返して、対手の暗い秘密を自分の身に思比べた時は、長く目と目を見合せることも出来ない位。
 高柳は膝を進めて、
『承りますれば御不幸が御有なすつたさうですな。さぞ御力落しでいらつしやいませう。』
『はい。』と丑松は自分の手を眺め乍ら答へた。『飛んだ災難に遭遇(であひ)まして、到頭阿爺(おやぢ)も亡(な)くなりました。』
『それは奈何(どう)も御気の毒なことを。』と言つて、急に高柳は思ひついたやうに、『むゝ、左様々々(さう/\)、此頃(こなひだ)も貴方と豊野の停車場(ステーション)で御一緒に成つて、それから私が田中で下りる、貴方も御下りなさる――左様でしたらう、ホラ貴方も田中で御下りなさる。丁度彼の時が御帰省の途中だつたんでせう。して見ると、貴方と私とは、往きも、還りも御一緒――はゝゝゝゝ。何か斯う克(よ)く/\の因縁(いんねん)づくとでも、まあ、申して見たいぢや有ませんか。』
 丑松は答へなかつた。
『そこです。』と高柳は言葉に力を入れて、『御縁が有ると思へばこそ、斯(か)うして御話も申上げるのですが――実は、貴方の御心情に就きましても、御察し申して居ることも有ますし。』
『え?』と丑松は対手(あひて)の言葉を遮(さへぎ)つた。
『そりやあもう御察し申して居ることも有ますし、又、私の方から言ひましても、少許(すこし)は察して頂きたいと思ひまして、それで御邪魔に出ましたやうな訳なんで。』
『どうも貴方の仰(おつしや)ることは私に能く解りません。』
『まあ、聞いて下さい――』
『ですけれど、どうも貴方の御話の意味が汲取れないんですから。』
『そこを察して頂きたいと言ふのです。』と言つて、高柳は一段声を低くして、『御聞及びでも御座(ござい)ませうが、私も――世話して呉れるものが有まして――家内を迎へました。まあ、世の中には妙なことが有るもので、あの家内の奴が好く貴方を御知り申して居るのです。』
『はゝゝゝゝ、奥様(おくさん)が私を御存じなんですか。』と言つて丑松は少許(すこし)調子を変へて、『しかし、それが奈何(どう)しました。』
『ですから私も御話に出ましたやうな訳なんで。』
『と仰ると?』
『まあ、家内なぞの言ふことですから、何が何だか解りませんけれど――実際、女の話といふものは取留の無いやうなものですからなあ――しかし、不思議なことには、彼奴(あいつ)の家(うち)の遠い親類に当るものとかが、貴方の阿爺(おとつ)さんと昔御懇意であつたとか。』斯(か)う言つて、高柳は熱心に丑松の様子を窺(うかゞ)ふやうにして見て、『いや、其様(そん)なことは、まあ奈何でもいゝと致しまして、家内が貴方を御知り申して居ると言ひましたら、貴方だつても御聞流しには出来ますまいし、私も亦た私で、どうも不安心に思ふことが有るものですから――実は、昨晩は、その事を考へて、一睡も致しませんでした。』
 暫時(しばらく)部屋の内には声が無かつた。二人は互ひに捜(さぐ)りを入れるやうな目付して、無言の儘(まゝ)で相対して居たのである。
『噫(あゝ)。』と高柳は投げるやうに嘆息した。『斯様(こん)な御話を申上げに参るといふのは、克(よ)く/\だと思つて頂きたいのです。貴方より外に吾儕(わたしども)夫婦(ふうふ)のことを知つてるものは無し、又、吾儕夫婦より外に貴方のことを知つてるものは有ません――ですから、そこは御互ひ様に――まあ、瀬川さん左様(さう)ぢや有ませんか。』と言つて、すこし調子を変へて、『御承知の通り、選挙も近いてまゐりました。どうしても此際(こゝ)のところでは貴方に助けて頂かなければならない。もし私の言ふことを聞いて下さらないとすれば、私は今、こゝで貴方と刺しちがへて死にます――はゝゝゝゝ、まさか貴方の性命(いのち)を頂くとも申しませんがね、まあ、私は其程の決心で参つたのです。』
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%