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破戒13-3

时间: 2017-06-03    进入日语论坛
核心提示:       (三) 其時、楼梯(はしごだん)を上つて来る人の足音がしたので、急に高柳は口を噤(つぐ)んで了(しま)つた
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        (三)
 
 其時、楼梯(はしごだん)を上つて来る人の足音がしたので、急に高柳は口を噤(つぐ)んで了(しま)つた。『瀬川先生、御客様(おきやくさん)でやすよ。』と呼ぶ袈裟治の声を聞きつけて、ついと丑松は座を離れた。唐紙を開けて見ると、もうそこへ友達が微笑み乍ら立つて居たのである。
『おゝ、土屋君か。』
 と思はず丑松は溜息を吐いた。
 銀之助は一寸高柳に会釈(ゑしやく)して、別に左様(さう)主客の様子を気に留めるでもなく、何か用事でも有るのだらう位に、例の早合点から独り定めに定めて、
『昨夜君は帰つて来たさうだね。』
 と慣々(なれ/\)しい調子で話し出した。相変らず快活なは斯の人。それに遠からず今の勤務(つとめ)を廃(や)めて、農科大学の助手として出掛けるといふ、その希望(のぞみ)が胸の中に溢(あふ)れるかして、血肥りのした顔の面は一層活々と輝いた。妙なもので、短く五分刈にして居る散髪頭が反(かへ)つて若い学者らしい威厳を加へたやうに見える。友達ながらに一段の難有(ありがた)みが出来た。丑松は何となく圧倒(けおさ)れるやうにも感じたのである。
 心の底から思ひやる深い真情を外に流露(あらは)して、銀之助は弔辞(くやみ)を述べた。高柳は煙草を燻し/\黙つて二人の談話(はなし)を聞いて居た。
『留守中はいろ/\難有う。』と丑松は自分で自分を激(はげ)ますやうにして、『学校の方も君がやつて呉れたさうだねえ。』
『あゝ、左(どう)にか右(かう)にか間に合せて置いた。二級懸持ちといふやつは巧くいかないものでねえ。』と言つて、銀之助は恰(さ)も心(しん)から出たやうに笑つて、『時に、君は奈何(どう)する。』
『奈何するとは?』
『親の忌服だもの、四週間位は休ませて貰ふサ。』
『左様もいかない。学校の方だつて都合があらあね。第一、君が迷惑する。』
『なに、僕の方は関はないよ。』
『明日は月曜だねえ。兎(と)に角(かく)明日は出掛けよう。それはさうと、土屋君、いよ/\君の希望(のぞみ)も達したといふぢやないか。君から彼(あの)手紙を貰つた時は、実に嬉しかつた。彼様(あんな)に早く進行(はかど)らうとは思はなかつた。』
『ふゝ、』と銀之助は思出し笑ひをして、『まあ、御蔭でうまくいつた。』
『実際うまくいつたよ。』と友達の成功を悦(よろこ)ぶ傍から、丑松は何か思ひついたやうに萎(しを)れて、『県庁の方からは最早(もう)辞令が下つたかね。』
『いゝや、辞令は未だ。尤(もつと)も義務年限といふやつが有るんだから、ただ廃(や)めて行く訳にはいかない。そこは県庁でも余程斟酌(しんしやく)して呉れてね、百円足らずの金を納めろと言ふのさ。』
『百円足らず?』
『よしんば在学中の費用を皆な出せと言はれたつて仕方が無い。其位のことで勘免(かんべん)して呉れたのは、実に難有い。早速阿爺(おやぢ)の方へ請求(ねだ)つてやつたら、阿爺も君、非常に喜んでね、自身で長野迄出掛けて来るさうだ。いづれ、其内には沙汰があるだらうと思ふよ。まあ、君と斯(か)うして飯山に居るのも、今月一ぱい位のものだ。』
 斯う言つて銀之助は今更のやうに丑松の顔を眺めた。丑松は深い溜息を吐(つ)いて居た。
『別の話だが、』と銀之助は言葉を継(つ)いで、『君の好な猪子先生――ホラ、あの先生が信州へ来てるさうだねえ。昨日僕は新聞で読んだ。』
『新聞で?』丑松の頬は燃え輝いたのである。
『あゝ、信毎に出て居た。肺病だといふけれど、熾盛(さかん)な元気の人だねえ。』
 と蓮太郎の噂(うはさ)が出たので、急に高柳は鋭い眸(ひとみ)を銀之助の方へ注いだ。丑松は無言であつた。
『穢多もなか/\馬鹿にならんよ。』と銀之助は頓着なく、『まあ、思想(かんがへ)から言へば、多少病的かも知れないが、しかし進んで戦ふ彼(あ)の勇気には感服する。一体、肺病患者といふものは彼様(あゝ)いふものか知らん。彼の先生の演説を聞くと、非常に打たれるさうだ。』と言つて気を変へて、『まあ、瀬川君なぞは聞かない方が可(いゝ)よ――聞けば復(ま)た病気が発(おこ)るに極(きま)つてるから。』
『馬鹿言ひたまへ。』
『あはゝゝゝゝ。』
 と銀之助は反返(そりかへ)つて笑つた。
 遽然(にはかに)丑松は黙つて了つた。丁度、喪心した人のやうに成つた。丁度、身体中の機関(だうぐ)が一時に動作(はたらき)を止めて、斯うして生きて居ることすら忘れたかのやうであつた。
『奈何したんだらう、また瀬川君は――相変らず身体の具合でも悪いのかしら。』と斯う銀之助は自分で自分に言つて見た。やゝしばらく三人は無言の儘で相対して居た。『今日は僕は是で失敬する。』と銀之助が言出した時は、丑松も我に帰つて、『まあ、いゝぢやないか』を繰返したのである。
『いや、復(ま)た来る。』
 銀之助は出て行つて了つた。
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