日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页

犬神家族-第二章 斧.琴.菊(4)

时间: 2022-05-31    进入日语论坛
核心提示:青沼菊乃の一子静馬――かれはいったい佐兵衛翁と、どのような縁があって、かくも|莫《ばく》|大《だい》な恩恵にあずかること
(单词翻译:双击或拖选)
青沼菊乃の一子静馬――かれはいったい佐兵衛翁と、どのような縁があって、かくも|
莫《ばく》|大《だい》な恩恵にあずかることができるのであろうか。そしてまた、松子、
竹子、梅子の三人はいったいどうしてこの名前に対して、あのようにはげしい憎悪の色を
示すのであろうか。それは単に、自分たちの息子の分け前を、横取りするものに対する、
憎悪の念であったであろうか。
否! 否!
そこにはもっと深い、根強い理由がありそうに思えるではないか。
金田一耕助は深い興味と好奇心のまじった眼で、犬神家のひとびとの顔色を読んでいた
が、そのとき古館弁護士が軽いしわぶきをして、また、遺言状を読みはじめた。
「ひとつ。……犬神奉公会は、この遺言状が公表されてより、三か月以内に全力をあげて、
青沼静馬の行方の捜索発見せざるべからず。しかして、その期間内にその消息がつかみえ
ざる場合か、あるいはかれの死亡が確認された場合には、かれの受くべき全額を犬神奉公
会に寄付するものとす。ただし、青沼静馬が、内地において発見されざる場合においても、
かれが外地のいずれかにおいて、生存せる可能性ある場合には、この遺言状の公表された
る日より数えて向こう三か年は、その額を犬神奉公会において保管し、その期間内に静馬
が帰還せる際は、かれの受くべき分をかれに与え、帰還せざる場合においては、それを犬
神奉公会におさむることとす」
一座はシーンとしずまりかえっている。それはなんともいえぬほど、恐ろしい静けさで
あった。氷のように冷えきったその静けさのなかに、なにやらえたいの知れぬ邪気と|妖
《よう》|気《き》のみなぎりわたるのを感じて、金田一耕助は、背筋の寒くなるのを覚
えずにはいられなかった。
古館弁護士は、ひと息いれたのち、また遺言状を読みはじめる。
「ひとつ。……野々宮珠世が斧琴菊の相続権を失うか、あるいはこの遺言状の公表以前、
もしくは公表されてより三か月以内に死亡せる場合において、佐清、佐武、佐智の三人の
うちに不幸ある場合はつぎのごとくなす。その一、佐清の死亡せる場合。犬神家の全事業
は協同者としての佐武、佐智に譲らる。佐武、佐智は同等の権力をもち、一致協力して犬
神家の事業を守り育てざるべからず。ただし、佐清の受くべき遺産の分与額は、青沼静馬
にいくものとする。その二、佐武、佐智のうち一人死亡せる場合。その分与額同じく青沼
静馬にいくものとす。以下、すべてそれに準じ、三人のうち何人が死亡せる場合において
も、その分与額は必ず青沼静馬にいくものとなし、それらの額のすべては、静馬の生存如
何により前項のごとく処理す。しかして佐清、佐武、佐智の三人とも死亡せる場合に於て
は、犬神家の全事業、全財産はすべて青沼静馬の享受することとなり、斧、琴、菊の三種
の家宝は、かれにおくられるものとなす」
犬神佐兵衛翁の遺言状は、実際はもっと長いのである。そこには野々宮珠世をはじめと
して、遺言状中の名前をあげられている、佐清、佐武、佐智の三人のいとこ、ならびに青
沼静馬なる人物と、この五人の人間の生と死との組み合わせが、あらゆる場合の可能性を
追究していく、一種のパズルのようなものであった。
しかし、それはあまりに微に入り、細をうがちすぎ、これ以上は枝葉にわたるきらいが
あるので、ここでは省略することにするが、さて、いままで読みあげられたところを通読
して、だれでもが、すぐに感じずにはいられぬことは、野々宮珠世の絶対ともいうべき有
利な立場である。
野々宮珠世がいまから三か月以内に、死亡するなどとは絶対に考えられない。と、すれ
ば犬神家の全事業全財産のまことの相続者は、彼女の決意ひとつできまるわけである。す
なわち、佐清、佐武、佐智の運命は、彼女の|一顰一笑《いっぴんいっしょう》によって
左右されるのだ。
それにつづいて、だれでも奇異な想いをいだかずにはいられぬことは、青沼静馬なる人
物のことである。この遺言状を子細に吟味してみるならば、青沼静馬なる人物こそ、野々
宮珠世についで、有利な立場をしめていることに気づかずにはいられないだろう。
佐清、佐武、佐智の三人が、野々宮珠世の意志に左右されることなしに、祖父の遺産の
わけまえにあずかれるのは、珠世が権利を放棄するか、あるいは、珠世が死亡した場合に
かぎっているが、その場合における青沼静馬なる人物の、有利な立場はどうだろう。
なるほど、かれは犬神家の事業には参画できない。しかし全財産のわけまえにおいては、
他の三人に倍するのである。しかも、青沼静馬が死んだところで、佐清ら三人は、なんの
恩典にもあずかれないが、その反対に佐清ら三人のうち、だれが死亡しても、そのわけま
えは、青沼静馬のふところに、ころげこむことになっているのである。もし、それ、野々
宮珠世をはじめとして、三人のいとこたちのすべてが死んだ暁には、犬神家の全事業なら
びに全財産は、ことごとく、青沼静馬なる、不可解な人物の、手中に帰することになって
いるのである。
すなわち、この遺言状によると、犬神家の全事業ならびに全財産は、最初において、野
々宮珠世の掌中ににぎられることになっており、最後においては、青沼静馬の肩におちて
くることになっているのである。
しかも、その間、佐清ら三人といえども、自分ひとりで、犬神家の全事業全財産を独占
しうるチャンスはどこにも見いだしえないのである。たとえ、三人のいとこのうち、ひと
りだけ生きのこり、野々宮珠世や青沼静馬もひっくるめて、他の全部、死にたえたとした
ところで、かれは犬神家の全事業、全財産を掌握することはできないのだ。
なぜならば、青沼静馬に行く分は、そのまま犬神奉公会へ寄付させられるのだから。
ああ、なんという奇妙な遺言状!
ああ、なんという|呪《のろ》いと悪意にみちた遺言状であったろうか。なるほど、こ
れでは古館弁護士の、まるで犬神家の一族に、血で血を洗う|葛《かっ》|藤《とう》を
起こさせるのも同然だといった言葉も、うなずけるのである。
いったい、これを書いたとき、犬神佐兵衛翁は正気であったろうか。もし、かれが正気
であったとしたならば、いかなればこそ、現在のおのれの孫にかくもつらく、たとえ恩人
のすえとはいえ、野々宮珠世や、また、青沼静馬なるえたいの知れぬ人物に、かくも温か
なのであろうか。
いやいや、佐兵衛翁の遺言状によって、恵まれることのうすいのは、佐清ら三人のいと
こだけではない。それよりも、もっと冷遇されているのは、三人のいとこの母たちと、そ
の夫たちである。かれらは遺言状のなかで、全然、無視され黙殺されているのではないか。
松子、竹子、梅子の三人は、佐兵衛翁の真実の娘でありながら、ここでは完全にのけも
のにされているのだ。
佐兵衛翁は生前、その娘たちに冷たかったといわれているが、それがこうも極端であっ
たとは。……
金田一耕助は、身内をはしる、一種すさまじい戦慄におののきながら、犬神家の一族の
ひとびとの顔色をうかがっている。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%

热门TAG: