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犬神家族-第六章 琴の糸(5)

时间: 2022-05-31    进入日语论坛
核心提示:金田一耕助はぼんやりと頭をかきまわしながら、「とにかく、これは妙なことですよ。このいちめんのかすり傷と、小ゆるぎもせぬい
(单词翻译:双击或拖选)
金田一耕助はぼんやりと頭をかきまわしながら、
「とにかく、これは妙なことですよ。このいちめんのかすり傷と、小ゆるぎもせぬいまし
めと……署長さん、このことをよく覚えていてください。いや、失礼しました。どうぞ綱
をおときになって……」
いましめはとかれて、佐智の死体は寝台の上に寝かされた。楠田医師がそれを調べてい
るところへ、刑事がひとり顔を出して、
「署長さん、ちょっと……」
「うん、なに?」
「ちょっと見ていただきたいものがあるんですが」
「ああ、そう、川田君、きみはここにいてくれたまえ。先生になにか用事があるかもしれ
んからね。それから先生」
「はあ?」
「もう一人、気絶した婦人が別室にいるんですが、ここがすんだらそのほうもみてやって
ください。犬神家の小夜子さんですが……」
署長のあとから金田一耕助もついてゆくと、刑事が案内したのは、台所の隣りにある湯
殿の脱衣場だった。みるとそこの板の間に、七輪がひとつ、|鍋《なべ》、|釜《かま》、|
土《ど》|瓶《びん》、|蜜《み》|柑《かん》箱のなかに炭が半分、金田一耕助と橘署長
は、それを見ると思わず眉をつりあげた。あきらかに近ごろだれか、そこで炊事をしてい
た者があるのだ。
「ねえ、署長さん」
刑事はふたりの顔を見ながら、
「佐武の事件の直後、私たちはこの空き家を調べたことがあるんですよ。柏屋へ泊まった
という、復員風の男が、ひょっとするとかくれてやあしないかと。……ところがそのとき
にはこんなもの、絶対になかったんです。だからだれがもぐりこんだとしても、きっとそ
のあとにちがいないんです」
「なるほど」
金田一耕助がうれしそうに、もじゃもじゃ頭をかきまわしながら、
「あなたが一度ここをお調べになった。だからこここそいちばん安全なかくれ場所である。
と、そいつはそう考えたのかもしれませんね」
「そうなんです。私もそれを考えていたんですが、そうなると、そいつは私たちがここを
調べたということを知っていたことになる。どうしてそれを知ることができたか……」
「そ、それですよ、け、刑事さん、ぼくが非常に興味をおぼえているのは。……ひょっと
すると刑事さんたちのやることは、万事そいつに筒抜けになっているのかもしれませんよ」
金田一耕助はいかにもうれしそうな様子だったが、橘署長はむしろ不きげんそうに、
「金田一さん、それはどういう意味かな。あんたの話をきいていると、まるでここにいた
のが、われわれの探している人物にちがいないようにおっしゃるが、そうとは限らんでし
ょう、だれか別の風来坊が……」
「いや、ああ、署長さん、あなたに見ていただきたいのはここばかりじゃないので……」
刑事は湯殿へ通ずるド?をひらくと、
「ごらんください。ここにかくれていたやつはここの風呂場で洗いものをしていたんです
よ。煮炊きもここですればよかったのだが、そうすると光が外へもれるおそれがある。台
所でもやはりそのおそれがあるので、脱衣場以外に煮炊きをする場所はなかったわけです。
ここならば、外から絶対に見えませんからね。ところでこの風呂場ですが……」
刑事はしかしそれ以上いう必要はなかったのだ。菜っ葉くずなどの散らかっている白い
タ?ルの上にくっきりとそれこそ判でおしたようについているのは、まぎれもなく、大き
な兵隊靴の跡ではないか。橘署長もそれを見ると、思わず太いうなり声をもらした。
「むろん、兵隊靴をはいてるからって、われわれの探している人物とは限りません。しか
し前後の事情から判断して……」
「なるほど、こういう靴跡がある以上、その可能性に一步接近したことはたしかだね。西
本君、この靴跡は型にとっておきたまえ」
橘署長はそこで金田一耕助のほうへふりかえると、おこったようにしゃべり出した。
「すると、なにかな、金田一さん、復員風の男がここにかくれているのも知らずに、佐智
のやつが珠世をここへつれこんだ。そこで、そいつと佐智のあいだに争いがあって、佐智
は椅子にしばりつけられた。ここにかくれていたやつは佐智を椅子にしばりつけると、猿
蔵に電話をかけて、珠世がここにいることを知らせた。そこで猿蔵がやってきたが、あい
つは珠世をつれもどしただけで、佐智は椅子にしばりつけられたままほうっておいた……
と、いままでわかっているところでは、こういうことになるのだが、しかし、そうなると、
金田一さん」
署長は言葉に力をこめて、
「佐智を殺したのはいったいだれだね。猿蔵が立ち去ったのち復員風の男がひきかえして
きて、改めて佐智を絞め殺したというのかね」
金田一耕助はゆるく頭をかきまわしながら、
「署長さん、ぼくもいまそのことを考えていたところですよ。そいつ、佐智君を殺すのな
ら、なぜ、猿蔵を呼ぶまえに殺さなかったか。いったん、猿蔵を呼んだ以上、この家が注
目されることはわかりきっている。幸か不幸か猿蔵はああいう男で、今朝までだまってい
ましたが、ここにかくれていた男は、そんなことを当てにするわけにはいかなかったでし
ょうからね。と、すれば猿蔵にいったんここを教えたのちに、舞いもどってくるというの
は、非常に危険な話ですよ。それに……いや、いずれにしても、佐智君の殺された時刻が
ハッキリしないことには、めったなことはいえませんがね」
橘署長はだまって考えていたが、やがて刑事のほうをふりかえると、
「西本君、ほかになにか……?」
「はあ。もうひとつ、物置きを見ていただきたいのですが……?」
その物置きというのは、勝手口のすぐ外にある、二坪くらいの建物だったが、ガラクタ
などのいっぱい詰まった土間のすみに、まだ新しいわらが|堆《うずたか》くつんであっ
た。
金田一耕助と橘署長は、それを見ると思わず眼を見はった。
「ここで寝泊まりしていたんですね」
「そうですよ。ちょうど収穫のあとですから、いたるところにわらぐろができている。そ
のなかから少しずつ抜いてくれば、だれだって気づきゃしませんよ。それにほら」
と、刑事はぐさぐさとわらを踏みながら、
「わらはこんなに深いのだから、なまなかの|煎《せん》|餅《べい》布団より、どれだ
け暖かいかしれませんぜ」
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