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犬神家族-第七章 噫無残!(1)

时间: 2022-05-31    进入日语论坛
核心提示:第七章 噫無残!十二畳ふた間をぶちぬいた犬神家の奥座敷、正面の白木の壇にあいかわらず大輪の菊花におおわれた故犬神佐兵衛翁
(单词翻译:双击或拖选)
第七章 噫無残!
十二畳ふた間をぶちぬいた犬神家の奥座敷、正面の白木の壇にあいかわらず大輪の菊花
におおわれた故犬神佐兵衛翁の、老いてなおかつ、昔日の|美《び》|貌《ぼう》のなご
りをとどめた端麗な遺影。
そのまえにあつまった犬神家の一族から、今日はまたふたりの男女が欠けている。ちか
ごろこの座敷にあつまりがあるたびに、まるで歯がぬけていくように、犬神家の一族から
重要人物が欠けていくのを、正面の白木の壇にかざられた佐兵衛翁の写真はなんと思って
いるだろうか。
このあいだは佐武が欠けた。そして今日は佐智と小夜子である。小夜子は恐ろしいショ
ックのために、一時的にとりのぼせているのであろうから、いつかは常態にかえることが
あるかもしれないけれど、ちょうどそのころ、那須病院の奥ふかく、手術台の上によこた
わって、楠田院長執刀のもとに、解剖がおこなわれているであろう佐智は、二度と犬神家
の親族会議につらなることはありえないのである。
こうして佐兵衛翁の血をひく男性は、あの消息不明の青沼静馬をのぞいては、ただひと
り、佐清だけがのこったわけである。その佐清はいまもまた、あの白いゴム製の仮面に、
人知らぬ山奥の古沼のような無気味な静けさをたたえて、ひっそりと座っているのである。
まるで血もかよわぬ冷たい塑像ででもあるかのように。
佐清のそばには松子夫人。
そして、そのふたりから少しはなれたところに竹子と夫の寅之助。
さらにそれから少しはなれて、眼をまっかに泣きはらした梅子と夫の幸吉。
犬神家の一族といえば、もうこれだけになってしまったが、そのなかに、この一団から
少しはなれて、珠世がひかえていることはいうまでもない。昨日からうちつづくショック
に、珠世はいくらかやつれていたが、そのために、あの照りかがやくばかりの美しさが、
そこなわれるようなことは少しもなかった。いやいや彼女の神々しいばかりの美しさは、
くめどもつきぬ泉のように底なしであった。見れば見るほど美しさは立ちまさってくるの
であった。今日は珍しく珠世のそばに猿蔵もひかえている。
さて、それらのひとびとから少しはなれたところに、豊畑村からひきあげてきた橘署長
に金田一耕助。松子夫人に呼びよせられた古館弁護士。さらにひと足さきに豊畑村から凶
報をもたらした吉井刑事もひかえている。いずれもいままさに、神秘の|帳《とばり》を
かかげようとする緊張のために、息づまりそうな表情である。
一同のあいだにくばられた|桐《きり》|火《ひ》|桶《おけ》のなかで、炭火のはね
る音さえきこえるほどの静けさ。|清《せい》|冽《れつ》な菊の香りといっしょに、な
んともいえぬものすさまじい鬼気が、座敷のなかにみなぎりわたる。
息づまるような沈黙。――その沈黙をやぶって、口をひらいたのは松子夫人であった。
「それでは、お尋ねにしたがって、私から申し上げます。竹子さん、梅子さん、なにもか
もお話ししてもかまわないでしょうね」
例によってしんねり強い調子である。松子夫人に念をおされて、竹子と梅子はいまさら
のごとく、おびえたように顔を見合わせたが、それでもしかたなさそうに、暗い眼をして
うなずいた。
「この話は私たちのあいだの秘密で、今までだれにも打ちあけたことのない話です。いえ
いえ、できることなら生涯だれにも打ちあけたくないし、また、けっしてだれにも話すま
いぞと三人でかたくちかいあった秘密なのです。でもこのような事態となっては、もうこ
れ以上かくしているわけにもまいりますまい。竹子さんも梅子さんも、子どもたちの敵を
うっていただくために、どうしてもこの話を打ちあけなければならぬとあらば、それもし
かたがないといっております。この話をきいて、あなたがたがわたしどもに対して、どの
ような感じを持たれようとも、それはもう致し方のないことです。ひとにはそれぞれの立
場があります。人間はだれでも自分たちの幸福を守らねばならぬものですし、ましてや母
ともなれば、自分のためばかりではなく、子どもの幸福のためにもたたかわねばなりませ
ん。たとえひとさまから多少非道のそしりをうけましょうとも」
松子夫人はそこでちょっと、言葉をきると|禿《はげ》|鷹《たか》のように鋭いまな
ざしで、ギョロリと一同を見まわし、ひと息いれると、ふたたび話しつづけた。
「話はここにいる、佐清の生まれる前後のことですから、かれこれ三十年の昔にさかのぼ
ります。そのころ亡父犬神佐兵衛が青沼菊乃といういやしい女を|寵愛《ちょうあい》し
ていたことは、皆さんもたぶんお聞きおよびのことと存じます。菊乃というのは亡父の経
営しておりました、製糸工場につとめていた女で、このころ十八、九でございましたろう
か。格別器量がよいというわけでもなく、また、格別|才《さい》|長《た》けているわ
けでもなく、ただ、おとなしいばかりの平凡な娘でございましたが、どういうふうにして
あれが亡父を|籠《ろう》|絡《らく》いたしましたものか、とにかくその女に手をつけ
て以来、あれが老いらくの恋とでもいうのでございましょうか、亡父はもうはたの見る眼
もあさましいほど、のぼせあがってしまったのでございます。そのころ亡父は、五十の坂
を二つ三つ越えていたでしょうか、犬神家の事業の基礎もようやくかたまり、犬神佐兵衛
といえば、日本でも一流の事業家にかぞえられておりましたのに、それがまだ十八や十九
の、それも自分の工場に使っていた、ごく身分のひくい女工あがりの娘に、うつつを抜か
してしまったのですから、世間に対して、これほど外聞のわるい話はございませんでした」
いまさらのように、当時の怒りがこみあげてきたものか、松子夫人は声をふるわせて、
「さすがに亡父も私どもをはばかったものか、その女をこの家にひっぱりこむようなこと
はしようとせず、町はずれに手ごろな家を買いもとめて、そこに住まわせておりましたが、
はじめのうちは人眼をしのんで、おりおり通っておりましたものが、だんだんずうずうし
くなってまいりまして、しまいにはとうとう、入りびたりということになってしまいまし
た。そのころの私ども一家の世間ていのわるさを、まあ考えてみてくださいませ」
松子夫人はますますネツい調子になって、
「これがそんじょそこらによくある、ふつうの金持ちの御隠居が若返ったというならば、
まだようございましょう。それほど世間の口の端にのぼるようなこともございませんでし
たろう。ところがそれとはことちがい、かりそめにも信州財界の巨頭、長野県の代表的人
物、那須町の父ともいわれる犬神佐兵衛のその不始末でしたから、世間の風当たりも強う
ございました。|喬木《きょうぼく》風に吹かれるたとえのとおり、亡父も偉くなればな
るで、政敵、商売がたき、その他いろいろの敵が多うございましたが、それらの連中が時
こそいたれとばかりに、新聞には書き立てる。だれがつくったのか、変な、みだらなざれ|
唄《うた》をつくってはやらせる。ほんとにあのときのことを思うと、いまも身内がすく
むほど、いやな思いをさせられました。でもまだそれだけならばよかったのです。ひとか
ら後ろ指をさされるくらいならば、なんとか辛抱もできないことはございませんでした。
ところがそのうちにどうしても聞きずてにならない風評が、私の耳に入ったのでございま
す」
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