日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页

八墓村-犬神家族-第八章 運命の母子(8)

时间: 2022-05-31    进入日语论坛
核心提示:一行が足を早めて登っていくとき、突然、上のほうからパンパンとピストルを撃ちあう音がきこえてきた。「あっ、はじめやあがった
(单词翻译:双击或拖选)
一行が足を早めて登っていくとき、突然、上のほうからパンパンとピストルを撃ちあう
音がきこえてきた。
「あっ、はじめやあがった」
金田一耕助は兎のようにピョンピョンと、急な坂を登っていったが、やがて沼の平のス
ロープの頂上までたどりついたとき、そんな場合にもかかわらず、かれは思わず、
「ああ、きれいだ」
と、叫んで立ちどまらずにはいられなかったのである。
|豁《かつ》|然《ぜん》としてうちひろがった、雪一色のゆるやかな起伏、その向こ
うに、|峨《が》|々《が》たる八ケ岳の連峰が、これまた雪におおわれて、眉にせまら
んばかり間近に見える。|紺青《こんじょう》の空、薄紫色ににおうばかりの雪の|襞《ひ
だ》。……
だが、金田一耕助の|恍《こう》|惚《こつ》は、それほど長くはつづかなかった。ス
ロープの下のほうから、またしてもきこえてきたのは、パンパンとピストルを撃ちあう音。
と、見れば、はるか下のほうで、復員風の男を遠巻きにして、三人の私服がじりじりと
迫っていく。耕助といっしょに登ってきた連中は、それを見ると、いっせいに|燕《つば
め》のように滑降していく。金田一耕助もそのあとから、尻はしょりで滑っていった。
復員風の男は八方から、私服のお巡りさんにとりかこまれて、もう袋のなかの鼠も同然
だった。かれはステッキをすて、スキーをはいたまま|仁《に》|王《おう》立ちになっ
ていた。眼が血走り、くちびるのはしから血をたらしている形相がものすごい。
復員風の男はまた一発、二発撃った。それに応じてお巡りさんたちのピストルが火をふ
いた。金田一耕助はそのほうへ滑っていきながら、
「そいつを殺しちゃいけない。そいつは犯人じゃないのだから」
その声が耳に入ったのか、復員風の男はギョッとしたように金田一耕助のほうをふり仰
いだ。一瞬、手負い|猪《じし》のような凶暴な光が、その男の眼のなかにもえあがった。
男はピストルを持った手をひらりとひるがえすと、自分のこめかみに銃口をあてがった。
「あっ、そいつを殺すな」
金田一耕助が絶叫した刹那、だれのはなった一発か、男の|拳《こぶし》をつらぬいた
と見えて、相手はピストルを取りおとしたかと思うと、雪の上に|膝《ひざ》をついてい
た。そして、そのつぎの瞬間には、おどりかかった数名の私服によって、男の両手には手
錠がはめられていたのである。
橘署長と古館弁護士が、男のそばへちかづいていった。
「古館さん、いかがですか。この人物に見覚えがありますか」
古館弁護士は息をのみ、相手の顔を見守っていたが、すぐ暗い眼をして顔をそむけた。
「そうです。このひとこそ犬神佐清君にちがいありません」
橘署長はうれしそうに両手をこすりあわせたが、やがて、金田一耕助のほうをふりかえ
ると、眉をひそめて、
「金田一さん、あんたはさっき妙なことをいいましたね。その男は犯人じゃないと、あれ
はどういう意味ですか」
金田一耕助は、突然、バリバリジャリジャリともじゃもじゃ頭をかきまわしはじめた。
そして、いかにもうれしそうに、
「ショ、ショ、署長さん、ド、ド、どういう意味も、コ、コ、こういう意味もありません
よ。コ、コ、このひとは犯人じゃないのですね。タ、タ、たぶんこのひとは、あくまで自
分が犯人だといいはるでしょうけれどね」
さっきから凶暴な眼で耕助をにらんでいた佐清は、そのとき、手錠をはめられた両手を、
絶望したように打ちふると、ドサリと雪の上に横倒しになったのである。
わが告白
十二月十五日。
昨日からうちつづく好天気に、那須湖畔をうずめつくした雪も、だいぶ根がゆるんでき
たけれど、それにもかかわらず、那須市とその周辺に住むひとびとのあいだには、いま、
つめたい|戦《せん》|慄《りつ》と緊張とが、空気中に浮遊するバクテリヤのように|
瀰《び》|漫《まん》している。
かれらはみんな知っているのだ。那須湖畔いったいを|震《しん》|撼《かん》させた、
あの犬神家における連続殺人事件の、もっとも有力な容疑者が、昨日、雪の雪ケ峰でとら
えられたということを。そして、その容疑者こそはほかならぬ、犬神佐清そのひとであっ
たことを。さらにまた、その佐清とこの事件の関係者一同との対決が、今日これから、犬
神家の奥座敷でおこなわれようとしていることを。
さらにかれらは知っているのだ。去る十月十八日、若林豊一郎殺しにはじまった、この
一連の殺人事件も、いよいよ大詰めにちかづいているということを。ただ、だれにもわか
らないのは、犬神佐清がはたして真犯人であるかどうかということである。しかし、それ
も今日の対決によって、ハッキリわかるのではあるまいか。
だから、那須湖畔に住むひとびとは、|固《かた》|唾《ず》をのむ思いで、犬神家の
かたを凝視しつづけているのである。
その犬神家の奥座敷では例の十二畳二間をぶちぬいて、いま、異様に緊張した顔、顔、
顔がならんでいる。
松子夫人はあいかわらず、しんねり強い顔色で、たばこ盆をひきよせて、|悠《ゆう》|
然《ぜん》として、長ぎせるで刻みたばこをすっている。細いながらも、バネのように|
強靭《きょうじん》な体質をもったこの女は、いったい、いまなにを考えているのであろ
うか。
彼女も昨日雪ケ峰で、本物の佐清がつかまったということを、聞いていないはずはない
のである。してみれば……いや、いや、本物の佐清がつかまる以前に、あの手型から、湖
水に逆立ちしていた人物が、佐清でなかったことを知っているはずなのだ。
それにもかかわらず、彼女の態度にも表情にも、なんの動揺もあらわれていない。妹た
ちの|猜《さい》|疑《ぎ》と憎しみにみちた視線を、どこ吹く風とうけながしながら、
小憎らしいまでに落ち着きはらって、|朱《しゅ》|羅《ら》|宇《お》のきせるでたば
こをすっている。刻みたばこをもむ指先にも、|微《み》|塵《じん》のふるえも見られ
なかった。
松子からすこし離れたところに、竹子と夫の寅之助、梅子と夫の幸吉が、ひとかたまり
になって座っている。松子の落ち着きはらっているのに反してかれらは皆一様に、猜疑と
恐怖と不安におののいている。竹子のゆたかな二重あごは、極度の緊張のためか、ひっき
りなしにふるえている。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%

热门TAG: