日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页

犬神家族-第八章 運命の母子(9)

时间: 2022-05-31    进入日语论坛
核心提示:搜索复制この一団からまたすこし離れたところに、珠世がひとり、孤立の姿でひかえている。彼女はあいかわらず美しい。美しいこと
(单词翻译:双击或拖选)
この一団からまたすこし離れたところに、珠世がひとり、孤立の姿でひかえている。
彼女はあいかわらず美しい。美しいことにかけては、ふだんと少しもかわりはないが、
しかし、今日の珠世はいつもの彼女ではなかった。呆然と放心したように見はった瞳には、
どこかいたいたしい傷心の色が濃かった。なにをいわれても、どのような眼で見られても、
ただ端然と、美しく取りすましていた珠世だのに、今日ははじめから、なんとなく取り乱
した様子である。彼女をささえていた強い自我の根が、なにかのはずみに、ポッキリ折れ
たという格好だ。おりおりはげしい戦慄が、思い出したように彼女を襲う。
珠世からすこし離れたところに、琴の師匠の宮川香琴。彼女はまだ、自分がなぜこの席
へ呼び出されたのか知っていないらしい。恐ろしい松竹梅三人姉妹をまえにおいて、彼女
はただおどおどとおびえている。
香琴女からすこし離れて、金田一耕助と古館弁護士。古館弁護士はすっかり落ち着きを
うしなって、しきりに|空《から》|咳《せき》をし、額をこすり、貧乏ゆすりをする。
金田一耕助もさすがに興奮しているのか、一同の顔を見まわしながら、さっきから、もじ
ゃもじゃ頭をかきまわしつづける。
午後二時ジャスト。
遠くのほうで|呼《よ》び|鈴《りん》の音がしたので、一同はさっと緊張する。間も
なく縁側の向こうから、ドヤドヤ足音がちかづいてきて、まずいちばんに姿を見せたのは
橘署長。それにつづいて左右から、刑事に腕をとられた犬神佐清。|蹌《そう》|踉《ろ
う》とした足どりで、手錠をはめられた右の手に、白い包帯がいたいたしい。
佐清は障子のそとまでくると、ギックリと、おびえたように立ちどまった。そしておず
おずと一同の顔を見まわしていたが、その視線が、松子夫人までくると、はじかれたよう
に顔をそむける。
と、その拍子にかれの視線は、カッキリと珠世の瞳とかみあった。しばらくふたりは活
人画のように、眼を見かわしたまま身動きもしなかったが、やがて佐清がのどの奥で、す
すり泣くような音をたてて顔をそむけると、珠世もガックリ、|呪《じゅ》|縛《ばく》
がとけたようにうなだれた。
このとき、金田一耕助が、いちばん興味をもって見守ったのは、なんといっても松子夫
人である。さすがに彼女も佐清の顔を見たとたん、さっと|頬《ほお》を紅潮させ、きせ
るを持つ手がふるえたが、すぐに日ごろのしんねり強い顔色にもどると、落ち着きはらっ
て、しずかに刻みたばこをもみはじめる。
その意志の強さには、金田一耕助も舌をまいて驚嘆した。
「おい、佐清君をこれへ……」
橘署長の声に刑事のひとりが、手錠をはめられた佐清の肩をおした。佐清はよろよろと
座敷のなかへ入ってくると、橘署長の指さすままに、金田一耕助のまえの席につく。刑事
がふたり、いざという場合、いつでもとびかかれるように背後にひかえる。橘署長は金田
一耕助のとなりの席に座った。
「で……?」
ちょっとした沈黙があってのち、金田一耕助が署長のほうをふりかえって、
「なにか新しい事実をききだすことができましたか」
橘署長はむっつりと、口をへの字なりに結んだまま、ポケットからしわくちゃになった
茶色の封筒をとりだした。
「読んでごらんなさい」
金田一耕助が手にとってみると、表には、
「わが告白」
と、あって、裏には、
「犬神佐清」
太い万年筆の走り書きである。
封筒のなかには粗末な|便《びん》|箋《せん》が一枚、表書きと同じ字で、
[#ここから1字下げ]
犬神家における連続殺人事件の犯人は、すべて私、犬神佐清である。私以外の|何《な
ん》|人《ぴと》も、この事件には関係がない。自決の直前に当たってこのことを告白す。
[#ここから1字下げ]
[#地から2字上げ]犬神佐清
金田一耕助はこれを読んでも、かくべつなんの興味もおもてにあらわさなかった。無言
のまま、便箋を封筒におさめてそれを署長にかえすと、
「佐清君がこれを持っていたんですね」
「そう、内ポケットに」
「しかし、佐清君は自殺するつもりならなぜさっさと自殺しなかったんです。なぜあんな
ふうに、警官に抵抗しなければならなかったんです」
橘署長は|眉《まゆ》をひそめて、
「金田一さん、それはどういう意味です。それじゃあんたは、佐清君に自殺するつもりな
どなかったというのかな。しかし、あんたも昨日、その場にいあわせたから知ってるはず
だが、あのときこちらのだれかのはなった弾丸が、佐清君の右手に命中しなかったら、こ
のひとはたしかに自殺してたはずだぜ」
「いやいや、署長さん、ぼくのいうのはそうじゃないんです。佐清君はたしかに自殺する
つもりだった。しかし、それをできるだけ、はなばなしく、劇的にやりたかったのです。
できるだけ世間の注目をひきたかったのです。そうすればするほど、告白書の効果が強く
なるわけですからね」
橘署長はまだ|腑《ふ》に落ちかねる顔色だったが、金田一耕助は委細かまわず、
「いや、さっきぼくのいったことには、ひとつ大きなまちがいがある。佐清君はなぜ警官
に抵抗したかといいましたが、これはまちがい。佐清君は抵抗なんかちっともしやあしな
かったんだ。ただ、抵抗してるふうをしていただけなんです。このひとの銃口は、絶対に
警官をねらってはいなかった。いつも雪をねらっていたんです。署長さん、あなたはその
ことに気がつきませんでしたか」
「そういえば、わしもあのとき、ちょっと不思議に思ったんだが……」
「ああ、それじゃあなたも気がついていらしたんですね」
金田一耕助はうれしそうに、もじゃもじゃ頭をかきまわしながら、
「署長さん、このことはよく覚えておいてくださいよ。佐清君の罪を決定する際に、ひと
つの反証になるわけですからね」
橘署長はまだ腑に落ちかねるように顔をしかめた。しかし、金田一耕助は依然として委
細かまわず、
「ときに署長さん、佐清君はこの告白書に書かれていることについて、具体的に語りまし
たか、どういうふうにして殺したのだというようなことを……」
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%

热门TAG: