日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日语随笔集 » 正文

「ひとり暮らしのふたり」

时间: 2017-04-21    进入日语论坛
核心提示: 降っているとも見えないほどの細かい雨が、朝から降り続いていた。週一回、母が泊まりがけで我が家を訪れる日の翌朝である。雨
(单词翻译:双击或拖选)
 降っているとも見えないほどの細かい雨が、朝から降り続いていた。週一回、母が泊まりがけで我が家を訪れる日の翌朝である。雨に足取めされた私たちは、朝食後のひとときを思い思いに過ごしていた。
 先程から熱心に解いていた数字のパズルに行き詰まったらしく、母がしきりにぼやきだした。
 「やっぱり星が五つも付いとるから難しいんじゃろうなぁ?どうしても解けんが」
 大きな声で同意を求めている。そんな母の言葉には頓着もしないで、私は朝刊に目を通し始めた。さっきまで母に新聞を占領されていて読めなかった、と思う気持ちがあるから、何時になく熱心にページをめくる。平素は見出ししか読まない政治欄を先ず広げたのは、少し前に彼女がその部分を声に出して読んでいたから、というところが少々情けない。
 とうとうパズルに見切りをつけた母は、昨日手に入れたばかりの『万葉集』を読み始めた。否、詠み始めたのである。今年八十七歳になった母は、少し耳が遠い。その分大きくなった声で、気持ち良さそうに朗々と詠んでいる。そのうち、本の内容を私に教えようという親切心まで起こしたらしい。
 「枕詞はどうして出来たんじゃと思う?」
 「柿本人麻呂の歌は、なんでこんなに上手いんじゃろう」
云々と、しきりに話しかけてくる。
 新聞を読んでいる私の目は必死に活字を追うのだが、さっきから同じ所を行ったり来たりしているばかりで、内容が少しも把握出来ない。とうとう堪忍袋の緒は切れた。
 「あのなぁ、今、新聞を読んどるんじゃけど???」
 と、私。
 「ごめんごめん。声に出して読むのが癖になっとるからな。はいはい、もう黙ります」
 と、母はあっさり引き下がる。
 静かな時間が戻り、やがて私はその静かさに気がとがめ始める。そして、新聞を放り出し、コーヒーを淹れる為に席を立つ。
 「お互いに、ひとり暮らしがそれだけ長うなったというこっちゃ」
 コーヒーを飲みながら、私たちは笑った。
 
 十二年前、母と私は月を前後して伴侶を亡くした。お互い、それ以来のひとり暮らしである。あっという間だった気もするが、気儘なひとり暮らしが身についてしまうのに十分な長さではあったということであろう。
 母と過ごすこんな穏やかな朝を有難いと思い、それでも、一週間に一度ぐらいでいいかなとも思う。
 コーヒーを飲み終わった頃、降り続いた雨は小止みになった。
 「もう少し待ったら?」
 という私の忠告には耳も貸さないで、母はいそいそと自分の家に帰っていった。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%