返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日语随笔集 » 正文

言葉をください11

时间: 2020-05-15    进入日语论坛
核心提示:こざっぱり蝉、炎天のみみず、踏まれたバッタ、塩からトンボ、蝶に蜂からコガネ虫。山蟻は申すに及ばず、人間に遠い「いのち」ほ
(单词翻译:双击或拖选)
こざっぱり

蝉、炎天のみみず、踏まれたバッタ、塩からトンボ、蝶に蜂からコガネ虫。山蟻は申すに及ばず、人間に遠い「いのち」ほど、こざっぱりと死んでみせる。
カラカラ乾いた蝉を手にのせて、私はしんじつ羨ましいと思う。このように死ねないものかと手にころがして祈りをこめる。
若き子の枕片寄せ戦さあるな
 そこからふッと南の島や北の曠野の骨を思った。兵の骨は靴の中でカラコロと鳴ると聞いた。骨はむしろ明るい音を立てると聞いた。その骨を石ころのように振り落として靴を貰って歩いたのだと、その人はこともなげに話した。しゃれこうべが掘り出されるのもテレビで見たが、これとても私には「こざっぱり」と見えた。恨みもつらみも洗い流したしゃれこうべの上に、人々も私も無理に平和という文字を刻んで目をつむった。
恥ずかしながら私は戦争の殺戮《さつりく》に愛する者を奪われた体験がない。少女期の敗戦記念日から今日まで「長すぎる平和はこわい」と誰かが言っても「そうですねえ」と、くぐり抜けてきたうっかり人生だった。
歳月のおそろしさに、今また軍靴の音がする。天命でない戦の死は「こざっぱり」ではなかったことを私が思い知ったのは、子の子が生まれたときである。
小さないのちはすくすくと育つ。
某日、私は心が仁王立ちになるのを覚えた。「子の子のために」阻止する戦。微視的であり、身勝手であってもよいと思う。世界中の一人一人が親馬鹿、孫馬鹿になり切れば、ほんの一握りの鬼や、命知らずの若者を取りおさえられないことはない筈だ。
日本に女性の自衛隊員がいる。笑顔で制服を着こなしている。ごくろうさまと言うべきか、否、「早く子供を持ちなさい」。
向こうから来る人があり人の世は
 あの世ではみんなうしろ向き。誰一人振りむくことをしないで、すたすたと歩いて行くのだと私は思う。それは、こざっぱりとしたうしろ姿であらねばならぬ、と強く願う。ゆえにこの世ですれ違う人を愛して、人は天命を全うすべきである。
ゴキブリホイホイの紙の家に小ねずみが迷い込んだことがある。捨て忘れの箱のゴキブリに黴《かび》が生えている、と思った私はそれが小ねずみと知って心が震えた。息絶えるまでの長い飢餓と苦しみ。
野犬収容所の地下室で、命乞いに光る数十匹の緑色の目玉を見たこともある。阿鼻叫喚地獄に私は号泣した。人間であることの思いあがりと無力さが私を打ちのめした日。
こざっぱり乾いて虫の天命よ
 定められた天命の道を歩き通して「こざっぱり」と死ぬことの難さを思う。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%

[查看全部]  相关评论