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言葉をください51

时间: 2020-05-15    进入日语论坛
核心提示:6ちゃんの兎絵の先生はいつも私の背後から抱くようにして絵に色を加えてくださった。ある絵の時間、きのう見て来た桜並木を画き
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6ちゃんの兎

絵の先生はいつも私の背後から抱くようにして絵に色を加えてくださった。
ある絵の時間、きのう見て来た桜並木を画きましょうと先生は言われた。
私はドキドキして待った。机の間をゆっくりと先生が歩いて来る。私の席へ確実に先生は近づく。私は頭の中がカーッとなって、桜が画けない。私の見た桜並木は雲のようであったから、そのように画こうと思うのだけれど、花の雲がどうしても掴めない。
「先生早く来て!」
と私は心の中で叫んだ。ところがどうしたことだろう、先生はくるりと廻れ右をして、また同じ列を歩いて教壇の方へ帰ってしまわれたのである。折から終業ベルが耳をつんざく音で鳴った。私の画用紙はまっ白で、わずかに草色のくれよんが下の方に塗ってあるだけ。急いで桃色のくれよんを取って、私は大きな字で「せんせいのばか」と書いて提出した。
小学校一年生。私が人に裏切られた初の体験である。
次の図画の時間、こんどはウサギとカメの絵を画きましょうと先生はやさしかった。私はその日も待った。ウサギとカメなんて画けるはずがない。そして時間は刻々と経っていったのである。先生はその日も私を裏切った。ベルが鳴った。私は白の画用紙に白いくれよんで画いた。
「2ちゃんが豆たべて……ちがった、これではアヒルになる」
私は目がくらみそうになった。
「えーと、6ちゃんが豆たべてアーッというまにウサギさん」
つまり数字の絵あそびをやったのである。こうして私の図画はどうにもならなかった小学生低学年時代。
その先生が転任して他校へ移られてからやっと私は自立した。先生に可愛がられているといううぬぼれが絵を画けなくしていた幼いころの苦い思い出が今は甘ずっぱい。
小学校高学年になって私は絵の部で大きな賞をいただいた。西瓜の絵であった。
絵が画けなかったころの夏休みの宿題は父が代わって画いた。
父の絵の女の子はオカッパ頭がいつも耳を出していて、耳からまた髪を垂らしていて、私は恥ずかしかった。それでも父に縋《すが》るしかなかった。
人に甘えることのおそろしさを教えてくださったのはあの絵の先生であるが、はじめになぜ抱くようにして色を添えてくださったのかは、問わずじまいになってしまった。
ころがしてころしてしまう雪だるま
花の雲重ねて問えば雲になる
鳥嫌いわけても鳩の首うごく
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