砂漠がうまれた
きのうまで
高らかに消化の音をひびかせていた
胃の
影だけが
乾いた砂の上にうずくまる
その影に寄り添って
二度と帰らぬものを待ちわびる
わたしの祈り
麻酔からさめたばかりの命が
寄る辺を失って
再び 乳白色の眠りに誘われてゆく
光が落ちてくる
窓からの日差しを浴びた点滴が
光となって
血液に落ちてくる
父に 母に
すべてをゆだねて
この世へやってきたわたし
でも今は違う
きままないたずらを繰りかえす
頭上の支配者から
わたし自身が 確と
奪いかえした命ではないのか
得たものだけを
子馬のように
見つめればよい
生きている ただそれだけを
体温で抱きしめればよい
木漏れ日のように
時が
じぐざぐに過ぎてゆく
わたしの祈りを
ゆっくりと ゆっくりと
浮上させながら