数年間の長い夢をみる
反対に
一瞬の間に
数年間が過ぎることもある
気まぐれで
つかみどころがなく
どことなく不機嫌なもの
どこからともなく湧き出でて
心の傷口を
ちろちろと舐めていく
あるときは
濁流となり
人の心を
ぎしぎしと切り刻む
めくるめく至福のときは
急流の舌に
ひとたまりもなく呑みこまれ
あとに思い出の流木すら残さない
内なる闇に逃げ惑うときは
焦らすように
のったりとたゆたう
本当は
私だけの上を流れる川が
存在するのだろうか
決して逆流を許さない流れ
向かうところ
深い淵が静かに澱んでいる
岸には
永遠を分割しながら
時計が客観的な時を刻んでいる