26 夕ゆふ月づく夜よ潮みちくらし難波江の蘆の若葉に越ゆる白波\藤原秀能
【通釈】
26 夕月が空に見えて、潮が満ちてくるらしい。難波江の蘆の若葉に白波が越えている。本歌「花ならで折らまほしきは難波江の蘆の若葉に降れる白雪」(後拾遺?春上?藤原範永)。○一?二句 「夕月夜」は、夕方の空に出ている上弦の月。またその頃の夜。夕月は早く沈む。月の出と潮の満ち干とに関連があることを念頭に置いた句の続け方。○難波江摂津国の歌枕。大阪市の大阪湾岸。蘆が景物とされる。▽「難波潟潮みちくらし雨衣田蓑の島に鶴(たづ)鳴き渡る」(古今?雑上?読人しらず)も念頭にあったか。定家十体で麗様の例歌とする。