この骨針は、長さ82ミリ、直径3ミリで、マッチより少し太目で、骨針自身が曲がって、表面が滑らかで、針の先の部分が鋭く、針の穴もはっきりしている。この骨針は、鋭い道具で掘ったものである。残念なことに、出土された時、穴の部分が損傷してしまった。
針があれば糸も必ずなくてはならないものであるが、糸はなかなか見つからなかった。山頂洞人が使った糸は、植物繊維ではなく、鹿の靱帯である可能性が大きい。罕(左には犭)という名前の鹿の体からとった靱帯で、長さが50センチ以上あり、細くて白い。この靱帯を糸にするのは理想的である。
針と糸があると、服を縫うことができる。このことから、山頂洞人は、服を着ていたことが分かる。
18000年あまり前に生活していた山頂洞人は、アクセサリーを作り、それを使用していたのである。考古学の専門家は、遺跡で山頂洞人の作ったネックレスを発見した。このネックレスは、色とりどりの石と獣の歯、魚の骨、貝などを磨いてから、縄でつなげて作ったものである。それに、縄などは染色されている。この染料は、山頂洞人がある赤い色の石、すなわち赤鉄鉱を石器で研磨して、できた粉末で作ったものだ。