第三節 水産資源
日本のまわりには暖流と寒流が流れているので、魚の種類も量も大変多い。また、日本の領海の多くは大陸棚で、水深200mぐらいまでのゆるやかな海底で、海藻が生育し、陸地の河川から流れ込む栄養分も豊富なため、魚介類が沢山集まっている。日本はこのようによい条件に恵まれているので、世界でも屈指の豊漁地になっている。日本でとれる魚類にはにしん、鮭、鱒、鱈、たらば蟹などの寒海洋性のものもあれば、鰹、まぐろ、鯛、鰤、秋刀魚、いわしなどの暖海洋性のものもある。
日本は世界一の水産国で、1993年の水あげ量(813万t)は世界の第三位を占めている。日本の漁業のやり方には、遠洋漁業、沖合漁業、沿岸漁業などがある。最近、栽培漁業が盛んになってきた。栽培漁業には、川や湖で魚を育てる内水面養殖と浅い海で魚を育てる海面養殖とがある。
日本は世界でも漁業人口の多い国である。しかし、大部分の漁民は家族だけで漁をする。また、一部分の漁民は農業などほかの仕事を兼業しており、漁業だけで生活している専業漁民は少ない。日本は海岸の出入りが多いので、各地によい漁港ができているが、大きな漁港は太平洋岸に集まっている。特に水あげが多いのは釧路、稚内、八戸、石巻、銚子などである。
日本周辺の大陸棚では海洋開発の一環として石油、天然ガスなどの開発が進められている。また、大洋底でも鉄、コバルト、ニッケル、マンガンなど多種類の金属が発見され、その開発が研究されている。