語学学校をやめたあと、七月からは、中学時代に通(かよ)っていた塾に、また顔を出すようになった。勉強がしたいというより、とりあえずなにかをしていなければというあせり。
八月には、ハワイに留学することに。でも、その実態は……。
中学三年のとき、私と同じような考え方で学校をやめていった子がいた。彼女もプータロー同然、お互い同情しあって、意気投合。
その子の家はお金持ちで、ハワイに別荘をもっていた。夏休みに一家でハワイの別荘に行くというので、それに便乗(びんじよう)、その別荘に寝泊(ねと)まりしながら、彼女と一緒に向こうの語学学校に一ヵ月ほど通うということで、両親から了承(りようしよう)をとった。
クラスは彼女と別々だったけど、ハワイで語学学校に通うようになった。なんと、そこでもいじめにあうことになる。
私のクラスに日本人の女の子がいて、彼女がボス的存在だった。十分間のブレイクタイムにキャンディが出る。それを彼女が配(くば)るのだが、私のところにきたら、
「あんたにはあげない」
そんなふうにされたら、なんだか急にばかばかしくなって、次の日から通うのをやめてしまった。一ヵ月の予定が、十日で帰ってきてしまった。
開成(かいせい)くんとの付き合いはまだ続いていたし、時間をもてあましていたから、西日暮里(にしにつぽり)の彼の学校の前で待っていたこともある。彼は大学受験を控(ひか)えていたから、かなり邪魔(じやま)をしてしまったかもしれないけど、当時はそんな意識はもうとうない。会ってなにをするわけでもないが、会えばそれなりに楽しかった。