おほけなく うき世の民におほふかな わが立つ杣(そま)に墨染(すみぞめ)の袖(そで)
前大僧正慈円
【歌意】 身の程をわきまえないことながら、辛い世の中に生きる人々の平穏のため?比叡山に住み始めて行う私の修行が役立ちますように?(身の程をわきまえないことながら、僧として辛いこの世の人々に覆いかけよう?比叡山に住み始めた私の墨染めの袖を)
【作者】 (さきのだいそうじょうじえん) 1155~1225年 関白?藤原忠通(ふじわらのただみち)の子。11歳で出家。史論『愚管抄』がある。
【説明】 「すみぞめ」は「墨染」と「住み初め」の掛詞。仏法の力によって天下万民を救おうとする強い決意が詠まれている。