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お雛様の花びん

时间: 2022-08-09    进入日语论坛
核心提示:お雛様(ひなさま)の花びん 一太郎君は、ある日曜日に、また田舎の伯父さんの家へ遊びにいきました。いつか蜘蛛の橋渡しの曲芸を
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雛様(ひなさま)の花びん

 一太郎君は、ある日曜日に、また田舎の伯父さんの家へ遊びにいきました。いつか蜘蛛の橋渡しの曲芸を見せて下さった、あの農学士の伯父さんの家です。
 いつものようにごちそうになったり、庭の温室を見せてもらったりしたが、一番おもしろかったのは、やっぱり伯父さんのお話です。
 そのお話の中で、伯父さんはニコニコ笑いながら、妙なことをおたずねになるのでした。
「一太郎、お前は、お前の体が二つも三つも入るような、大きなセメントの(つぼ)を、一人でつくることができるかい」
 一太郎君は、このとっぴな質問に、びっくりしてしまいました。
「え、セメントの壺ですって」
「そうだよ。口のところが徳利(とっくり)のような形をした、まんまるな壺だよ」
「とても一人でなんかできっこありませんよ。まず型をつくらなければならないし、第一僕はセメントと砂のまぜ方さえ知らないんですもの」
「そうだろう。大人だって、そんな大きな壺を、一人でつくるのはちょっとむずかしいからね。ところがね、一太郎、そういう大きな壺を、たった一人で、なんの道具も使わなくて、やすやすとつくるやつがいるんだよ。しかも、その壺が実にいい形をしているんだ」
「へえ、それ、どこの人ですか」
「いや、人間じゃないんだ。今のはたとえ話だよ。いつかの蜘蛛と同じで、やっぱり虫なんだ。そういう壺つくりの名人の虫があるんだよ」
 そういって、伯父さんは研究室へ入って行って、小さな木の枯枝を、さもだいじそうに持って、出てこられました。
「これだよ。ごらん、ここにその壺が三つもくっついているんだよ」
 その枯木の枝には、さくらんぼぐらいの大きさの白いまるいものが、少しずつ間をおいて、三つくっついていました。
 よく見ますと、その丸いものは、いかにも人間がつくった徳利のように、うまくできているのです。まんまるな胴に、細い口がついて、その口のはしが花でも開いたように、ひろがっているのです。
「やあ、かわいい徳利だな。これ僕の家の一輪挿(いちりんざし)の花瓶とそっくりですね。この口のところなんか、ほんとうにそっくりですよ」
 一太郎君は、お雛様の花瓶のような、かわいらしいセメント細工のようなものが、すっかり気に入ってしまいました。
「うまくできているだろう。ところで、これをつくった虫は何だと思うね」
 一太郎君は、首をかしげて考えましたが、どうしてもわかりません。まだそんな虫のことは、教わったことがないのです。
(はち)だよ。これはトックリバチという蜂の巣なんだよ」
 伯父さんが種あかしをして下さいました。
「へえ、蜂ですって? 蜂がこんな白い巣をつくるんですか」
「そうだよ、蜂といえば、誰でも蜜蜂や山蜂を思いだすけれども、ほかにもいろいろな蜂があるんだ。蜂の種類によって、みんな巣のつくり方がちがうのだよ。
 蜜蜂の巣は見たことがあるだろう。あれも実に見事なものだね。正しい六角形の筒を数かぎりなくよせあつめた、大きな房のような、あのお家もほんとうにりっぱなものだ。
 しかし、あれは誰でも知っている。都会の人は、蜂の巣といえば、どれでもあんな形をしているのだと思っているくらいだからね。
 ところが、蜂の巣には、いろんなのがあるんだよ。土の中へ穴をほって巣をつくる蜂もある。それから細い枯木の中へもぐりこんで、その中をがらんどうにしてしまって、幾段にもわけて巣をつくるのがある。かたつむりのからを占領して、その中へ巣をつくるやつもある。又、家の天井などの太い材木をくりぬいて巣をつくるのもある。これはまるで大工さんのようだというので、ダイクバチという名がついているのだよ。
 それから、サカンバチというのもある。屋根の(かわら)の下や、石がけなどに、小石をしっくいでぬりかためたような巣をつくる、人間でいえば、ちょうど壁をぬる左官と同じだね。だからサカンバチっていうのだよ。
 このかわいいセメントの壺をつくるやつは、徳利製造の名人だから、そこでトックリバチというわけさ。この蜂はからだまで徳利みたいな恰好をしているんだよ。こんなふうにね」
 伯父さんは、そこにあった紙に、鉛筆でトックリバチの図をかいて見せました。胸と腹の間が、ふつうの蜂よりも細くて、腹の形がちょうど徳利のように見えるのです。
「この蜂はからだの長さが一センチあまりしかない小さなやつで、この巣の徳利の中へ二匹も三匹も入れるくらいなんだよ。ほらね、だから、こいつは自分のからだの二三倍もある大きなセメントの壺をつくるわけじゃないか。それも一つじゃないんだよ。いくつでもつくるんだ。そして、一つの巣に一つずつ卵を生みつけていくんだよ」
「じゃあ、蜜蜂なんかとちがって、こいつは一人ぼっちで巣をつくるんですか」
「うん。そうだ。いい質問をしたね。これは仲間といっしょに働かない、一人ぼっちの蜂なんだ。
 蜜蜂なんかそうじゃないね。女王蜂と雄蜂と働蜂とが一つの国をつくっていて、その中の働蜂が力を合わせて、あの大きな巣をつくるんだね。
 ところが、こいつは名人かたぎとでもいうのか、自分一人で、気に入った壺をつくっているという変ったやつだよ」
「それじゃ、自分のからだの何倍もあるようなこの壺を、トックリバチは、いったいどうしてつくるのですか。セメントをどこから持ってくるのですか」
 一太郎君は、この壺つくりの名人の秘密を、早く知りたくてたまらないのでした。
「その材料はよく乾いた土なんだよ。少しでもしめりがあってはいけない。人が歩いてふみかためた、白く乾いた道なんかの、かたい土がいいのだ。
 トックリバチは、そのかたい土を、くちばしで(けず)りとる。そしてその土の粉を自分の(つば)でまるめるのだ。この唾に土をかためる特別の性質があるんだよ。いわばセメントの素とでもいうようなはたらきをするのだね。このまるめた土を、脚でかかえて、巣をつくる場所へ飛んでくる。その第一回に運んだのが、まず壺の底になるんだね。
 底をつくっておいて、又土をとりに飛んでいく、二度目に持って来たので、底の上の方を少しぬりかためる。そういうふうにして、何度となくいったり来たりして、だんだん壺をぬりあげてゆくんだよ。だから、ごらん、この壺のまわりには、縞のような筋がついているだろう。この一筋が一度に運んで来たセメントの分量なんだよ」
「じゃ、(つばめ)なんかの巣をつくるやり方と似ているんですね」
「そうだ。ただ材料がちがうのだね。そして、できあがった形がすばらしいのだ。鳥も昆虫にも、いろいろ美しい巣をつくるのがあるけれど、壺つくりにかけては、トックリバチにかなうものはないね。この壺の口のところが、なんともいえないじゃないか。口が何かの首のように、スーッと細くなって、それがもう一度ひらいて丸いつばのようになっている。ここは紙のようにうすいのだよ。この口のところはよほど念入りにつくるのにちがいないね。土も一番いいのをつかって、唾で十分こねてね」
 伯父さんのお話をきいている内に、一太郎君はますますこのかわいらしい蜂がすきになって来ました。
 伯父さんのお話はつづきます。
「人間が一番はじめにつくった壺も、なんだかこのトックリバチの壺に似ているんだよ。博物館へ行くと、私たちの大昔の先祖のつくった土器というものが陳列してあるが、これとよく似た形だ。
 その前には人間は壺をつくることを知らなかった。何千年か前の私たちの先祖が、非常な苦心をして、やっと土をかためることをおぼえ、壺をつくり出したのだ。
 ところが、トックリバチは、この世に出て来た時から、ちゃんと壺を作ることを知っていた。この蜂は壺がなくては子供を育てることができないように生まれついているのだからね。だから、壺をつくることでは、なかなかえらいわけだよ」
「じゃ、こいつは人間よりもかしこいのですか」
 一太郎君はちょっと不服らしい顔でたずねました。
「壺をつくることだけはね」
 伯父さんはニコニコして答えました。
「トックリバチは壺をつくるように生まれついているんだよ。誰に教えられたのでもなく、また自分の智恵で考え出したのでもない。まったく生まれつきなんだ。
 自分の智恵で工夫したのではないから、進歩というものがない。だから、こいつの壺は、千年前も今も、ちっともちがっていないのだよ。ところが、人間はそうじゃないね。生れつき壺をつくる力なんか、さずかっていないけれど、智恵をはたらかせてなんでも工夫する。人間には、物を工夫しつくりだす力があるんだ。何千年前には、土の壺さえ出来なかったのに、今では飛行機で鳥のように空を飛ぶことが出来るし、潜水艇で魚のように海の中を走ることもできるんだからね。
 人間には、進歩があるけれども、ほかのけものや虫には進歩がない。あっても比べものにならぬほどわずかだ。ここが大切なところだよ。人間は工夫さえすれば、いくらでもすばらしいことができる」
 一太郎君はそれを聞いて、安心しました。
「ところで、このトックリバチには、もう一つ、びっくりするようなことがあるんだよ。智恵の一太郎でも、ちょっと考えつけないような、すばらしい工夫を、生まれつきさずかっているんだよ」
 伯父さんはここで言葉を切って、なんだかじらすような笑い方をして、じっと一太郎君の顔をごらんになるのでした。
 さあ、この小さなトックリバチの、もう一つのことというのは、いったいどんなことでしょうか。
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