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どこで笛吹く(3)

时间: 2022-11-28    进入日语论坛
核心提示:三光治こうじが笛ふえを吹ふくのを聞きくと、だれでもそれに耳みみを傾かたむけて、感心かんしんしないものはなかったのです。光
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光治こうじふえくのをくと、だれでもそれにみみかたむけて、感心かんしんしないものはなかったのです。光治こうじははじめのうちは、そのふえ大事だいじにして、よるねむるときでもまくらもとにいて、すこしも自分じぶんからだからはなしたことはなかったのです。かれはだんだんふえ上手じょうずになって、なんでもふえけぬものはないようになりました。そして、自分じぶんなぐさめる、もっともたのしいものは、まったくこの世界せかいふえよりほかにないとおもったのであります。
夏休なつやすみになったあるのことでありました。かれふもともりなかはいって、またいつものこしをかけてこころゆくばかりふえらそうとおもい、いえかけました。みどりもりなかはいると、ちょうど緑色みどりいろ世界せかいはいったような気持きもちがいたしました。あしもとには、いろいろのちいさなくさはないていて、いい香気こうきはなっていました。ところどころ木々きぎのすきまからは、黄金色こがねいろひかりがもれて、したくさうえひかりえるようにうつっています。
光治こうじはしばらくゆめるような気持きもちで、うっとりとして一ぽんこしをかけて、ふえかずに、おだやかななつ自然しぜんとれていました。
「どうしてこう青葉あおばいろはきれいなのだろう。どうしてこう、このもりや、ひかりや、くもいろなどがうつくしいのだろう。」
と、かれはしみじみとおもっていたのであります。そして、かれがやがてふえきますと、その音色ねいろ平常へいぜい愉快ゆかい調子ちょうしず、なんとなく、しんみりとしたかなしみが、その音色ねいろただよってかれました。小鳥ことりもまったくこえひそめているようでありました。光治こうじは、そのからたちがって、もりなかをもっと奥深おくふかあるいてゆきますと、ふとあちらに、ちょうど自分じぶんおなとしごろの少年しょうねんがあちらきになって、いている姿すがたまったのでありました。
光治こうじは、いままでこのもりなかには、ただ自分じぶん一人ひとりしかいないものとおもっていましたのに、ほかにも少年しょうねんがきているのをって意外いがいおどろきましたが、いったいあの少年しょうねん自分じぶんっているものだかだれだかとおもってちかづいてみますと、かつて見覚みおぼえのない、いろしろい、つきのやさしそうな、なんとなく気高けだかいところのある少年しょうねんでありました。その少年しょうねん他人ひとがそばにってきたのをると、こちらをいて光治こうじかおをちょっとわらいましたが、すぐにまたのほうにきなおってふではたらかしていました。
光治こうじこころのうちでなつかしい少年しょうねんだとおもいながら、しずかに少年しょうねん背後うしろって、少年のいているとしますと、それは前方ぜんぽう木立こだち写生しゃせいしているのでありましたが、びっくりするほど、いきいきとけていて、そのいろといい、つちいろといい、そらかんじといい、それはいまにもうごきそうにけていたのでありました。少年しょうねん熱心ねっしんうつくしいばこなかおさめてあるいろいろのを一つ一つ使つかけてくさいたり、またとりなどをいたり、はななどをいたりしていました。
光治こうじ自分じぶんふえにつれて、小鳥ことりがいっしょになってさえずるのを自慢じまんにしていました。いま、少年しょうねんいた小鳥ことりは、かみうえからばたきをしてつのではないかとおもわれました。そして、たったすこしまえまで、自分じぶんはこのうつくしい自然しぜんとれていたのであるが、このきれいな緑色みどりいろ木立こだちひかりも、やまも、くさも、みんなそのままにいろですこしもわらず、かえってそれよりもいきいきとした姿すがたかみうえかれているのをますと、光治こうじは、もはやふえくことよりは、自分じぶん上手じょうずいたほうがいいようにかんがえました。
きみかい、さっきふえいていたのは。」
と、その少年しょうねんはふりいて光治こうじかおて、ちょっとわらっていいました。
「ああ、ぼくだ。」
と、光治こうじ簡単かんたんこたえた。
きみはよくこのもりあそびにきて、ふえくのかい。」
と、また少年しょうねんいました。
「ああ、よくくる。」
と、光治こうじこたえた。
ぼくは、もういたからかえるんだよ。」
と、その少年しょうねんはいって、さっさと道具どうぐをかたづけてしまうと、
「じゃきみ失敬しっけい!」
と、少年しょうねんはさもなつかしそうに光治こうじほうていって、いずこへともなくもりなかあるいて姿すがたかくしてしまいました。光治こうじはその少年しょうねん見送みおくりながら、どこへかえるのだろうとおもいました。また光治こうじには、あの少年しょうねん自分じぶんかってふえいたのはきみかといながら、すこしもうまくいたとはいわなかったのが、なんとなく物足ものたらなくこころかんじられたのであります。
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