現在世界では毎年九千万人の人口が増えているが、食料生産は頭打ちの状態である。人口増や都市化による耕地の減少、森林の開発による水資源の減耗、土壌の浸食など食料をめぐる環境は悪化の一途をたどっている。品種改良や肥料の開発による増産効果も現在は期待できない。
一方、先進国で豊かな生活を送る人間にとってはこれらの変化は具体的急激なものとは映らない。時折アフリカの飢餓の悲劇が取り上げられるが、緊急援助を行うことでとりあえず危機を回避したような気になって、それ以上は新聞でも報道されなくなる。しかし、こうした変化がこのまま続けば食料需給は逼迫し、食料価格の上昇は世界の政治経済に大きな緊張を生むことは必死である。食糧問題は五十五億人の人間と、人間の依存する自然システム、資源との間の関係が悪化していることの表れだと著者は指摘する。われわれは人類史上の未知の突入し生存か破壊かの選択を迫られているのである。
1、筆者がこの文章で一番に言いたいことは次のどれか。
①われわれは生存か破壊かの選択を迫られていること。
②緩慢な変化がいままさに切迫した危機に転化しようとしていること。
③食糧問題は五十五億の人間と、人間の依存する自然システム、資源との間の関係が悪化しているのを反映していること。
④緩慢な変化がこのまま続けば、食糧危機は世界の政治経済に大きな緊張を生むほどの切迫した危機に転化しようとしていること。
2、作者がこの文章を書く第一目的は何か。
①食糧問題は五十五億人の人間と、人間の依存する自然システム、資源との間の関係が悪化していることの表れだと指摘する。
②この本を書いた目的を説明する。
③この本の宗旨を説明して皆さんにこの本を推薦する。
④われわれは人類史上の未知の領域に突入し生存か破壊かの選択を迫られていることを強調する。