だが、「休めない」とか「忙しい」といった言葉に少し恥ずかしいさも感じている。大学三年の時「ババラギ」という本を読んで以来だ。
「ババラギ」というのは「白人」という意味で、二十世紀初頭に、初めて文明社会を見た南太平洋のある島民の語るの激しい文明批判だ。彼は文明社会に関心するどころか、お金や物、仕事、時間、情報に追い回される毎日を笑う。
彼の島では誰も忙しいなんて言わない。しかし文明社会の人々は自分自身が作り出した忙しさに疲れ、いざ暇ができると遊びたいという欲望までなくしてしまっている。彼は「文明のこんな貧しさを我々は決して真似してはいけない」という。
この本は「発展」や「勤勉」などの近代を支える価値観を覆してしまうから、納得してもすぐさま実行するわけにはいかない。でも、あふれる情報、短い時間の中で本当に有意義なものだけを味わう余裕を持てば、少しは豊かになれるかもしれない。
1、「こんな貧しさ」はどんな意味か次の四つから選びなさい。
①物のためにお金を使ってしまう。
②誰も忙しいと言わないこと。
③自分自身で作り出した忙しさに疲れていること。
④文明社会を感心すること。
2、「価値観を覆してしまう」はどんな意味か次の四つから選びなさい。
①価値観を否定してしまう。
②価値観を認めてしまう。
③価値観を許してしまう。
④価値観を古くしてしまう。
3、文章の内容と合っているものを①つ選びなさい。
①大企業ではまだ六日とか十日とかいった夏休みが一般的ではない。
②島民は文明社会にとって感心した。
③島民の考え方は絶対に実行できない。
④筆者は「ババラギ」という本の中に、学ぶべきものがあると感じている。