( )演奏家が、単に楽譜の指示に忠実に従って、音に変えていく技能者であるならば、彼は音楽家と呼ばれる資格はあるまい。たとえば、ピアノ塾に通う児童は繰り返し演奏技法を学び、塾のおさらい発表会で、日頃の修練の成果を披露する。健気な演奏に大きな拍手。ピアノの先生も、児童の母親も、よくできたと褒めるけれども、それは楽譜の指示に従って間違いなき弾けたということで、児童の演奏家としての習熟を称讃しているわけはない。本来、演奏家に求められているのは、演奏技法もさることながら、楽譜の示す意味の解釈、それは取りも直さず作曲家の意図と言うことなのだが、それをいかに解釈して現実の音に変えていくかという課題である。カデンツァという部分が用意されている曲もある。ここでは、演奏家の解釈が自由に表現されて、曲全体をいっそう高潮させていく。
また、指揮者という職能もある。彼もまた音楽家である。作曲家と演奏家の間にあって、彼に課せられた課題は、直接音に変えていく演奏家よりいっそうの解釈力が要求される。作曲家の意図を解釈して、それを演奏家のどのように音として表現させるかが、指揮者の腕の見せ所である。音楽の世界では、作曲家の仕事を原創造、そして指揮者や演奏家のそれを追創造といって説明している。つまり、楽譜という厳然とした原創造はあるが、楽譜に記されていない作曲家の創作意図を体して、指揮者や演奏家に追創造すべきであるというわけである。われわれが音楽会に出かけ、あるいはレコードを選択するのは、二つの楽しみを同時に享受したいからである。作曲家の原創造をしての音楽そのものと、指揮者や演奏家の解釈の仕方を変えて表出するという追創造の両方を、同時に楽しみたいというのである。
1、第一目の「それ」とは、何を指すか。
①音の流れ
②演奏家の演奏
③即興演奏の音
④作曲家によって創作された音楽
2、( )に入れる言葉を次の中から選びなさい。
①ところで
②ところが
③一方
④そういえば
3、第二目の「それ」とは、何を指すか。
①演奏家に求めていること
②演奏技法
③楽譜の示す意味
④楽譜の指示
4、第三目の「それ」とは、何を指すか。
①演奏技法
②作曲家の意図
③楽譜の示す意味
④楽譜の指示
5、「追創造」とあるが、ここではどういう意味か。
①演奏家が楽譜に記録された音の流れに変換すること。
②演奏家が自分の解釈によって自由にカデンツァという部分を表現すること。
③われわれの聴覚を楽しませるためには、演奏家が作曲家によって創作された音楽を演奏すること。
④楽譜に記されていない作曲家の創作意図を解釈して、現実の音に変えて表出すること。
6、「二つの楽しみ」とあるが、ここではどういう意味か。
①作曲家が創作した音楽と演奏家が演奏した音楽。
②指揮者の追創造と演奏家の追創造。
③作曲家の原創造と演奏家の追創造。
④音楽会の楽しみとレコードの楽しみ。
7、第一目の「それ」とは、何を指すか。
①音の流れ
②演奏家の演奏
③即興演奏の音
④作曲家によって創作された音楽
8、( )に入れる言葉を次の中から選びなさい。
①ところで
②ところが
③一方
④そういえば
9、第二目の「それ」とは、何を指すか。
①演奏家に求めていること
②演奏技法
③楽譜の示す意味
④楽譜の指示
10、第三目の「それ」とは、何を指すか。
①演奏技法
②作曲家の意図
③楽譜の示す意味
④楽譜の指示
11、「追創造」とあるが、ここではどういう意味か。
①演奏家が楽譜に記録された音の流れに変換すること。
②演奏家が自分の解釈によって自由にカデンツァという部分を表現すること。
③われわれの聴覚を楽しませるためには、演奏家が作曲家によって創作された音楽を演奏すること。
④楽譜に記されていない作曲家の創作意図を解釈して、現実の音に変えて表出すること。
12、「二つの楽しみ」とあるが、ここではどういう意味か。
①作曲家が創作した音楽と演奏家が演奏した音楽。
②指揮者の追創造と演奏家の追創造。
③作曲家の原創造と指揮者や演奏家の追創造。
④音楽会の楽しみとレコードの楽しみ。