アメリカに行くときは飛行機だったが、帰りは船に乗ってみたくて、貨客船で帰ることにした。貨客船は基本的に貨物船であるが、乗客も11人まで乗せることのできる船だった。その貨客船に乗ってアメリカ西海岸の港を出て横浜に向かった。
飛行機なら到着時とかに時計を一度だけ調節するのが普通であるが、船旅では、おもしろいことに、港を出てから横浜に着くまで毎日寝る前に1時間時計を遅らせるように船員に言われた。言ってみれば、1日が25時如何になったわけである。ところが、日付変更線を越えるときに、日付を1日先に進めることになった。( )1日失われたのである。
ところで、その船には小学校の教師を定年退職し息子さんと一緒に日本へ旅行に行くシックラーさんという女性が乗っていた。そして、そのシックラーさんの誕生日がたまたま日付変更線を越えるときに失われた1日だったのである。これを知った船長がそれはあまりにもかわいそうだということで、シックラーさんのためにパーティーを開くことにして、みんなでシックラーさんを励ました。おかげでみんな特別なパーティーを楽しむことができてなかなか経験できない船の旅となった。
私は、この知人の話を聞いて、このような船旅も悪くないなと思った。今は仕事で忙しく時間の余裕がないが、私もいつか船旅をしてみなくなった。
1、( )に入る最も適当な言葉はどれか。
①ただし
②ついに
③けれど
④つまり
2、本文の内容に合っているのはどれか。
①シックラーさんは、乗船していた人たちに誕生日を祝ってもらった。
②シックラーさんの息子さんは、悲しんでいる母のためにパーティーを開いた。
③日付変更線のところで1日多くなり、乗客たちは余計に楽しい思いができた。
④船長は、日付変更線に着くまで毎日時間を1時間遅らせなければならなかった。
3、この本文に題をつけるなら、どれが一番合っているか。
①貨客船と時間
②失われた誕生日
③交換留学先での思い出
④定年退職のパーティー