そのような教師や管理者はどんな行動理論を持っているのだろうか。
一つは、部下(生徒)が気を悪くしたのでは、反発心を起こして、躾に率直に従わなくなるからという行動理論ではないだろうか。
(中略)
人間は感情の動物と言われるように、( )。それが証拠に、煙草はやめたほうがよいと理性では分かっていても、「だがやはり吸いたい」という感情の力に負けて、なかなか禁煙できないでいる人が多いのではないか。
したがって、自分が違反していることを分かっていて違反している人間に、違反は悪いことだと、気を悪くさせないように話して、理性で何度分からせてみようとしても、違反行為はなかなかやまないのである。
では「話す」と「叱る」はどう違うのだろうか。それは「叱る」とは、感情に訴えて行動変化を起こさせるということである。
「叱られるのはいやだ、怖い」という不快感、不安感を涌かせて、その感情の力で行動変化を起こさせるということである。
(池上龍一「知ると仕事が楽しくなる!」による)
1、「このやり方」とあるが、この行為の目的として、説明が正しいのはどれか。
①重要なことを一回しか言わないことで部下(生徒)の注意を引き起こそうとする。
②自分の意見をはっきり言うことで、部下(生徒)の信頼を得ようとする。
③部下(生徒)の気持ちを大事にして彼らが喜ぶ言い方をする。
④部下(生徒)の機嫌を損なわないことを前提に自分の意見に従わせようとする。
2、( )の中に入れる言葉として正しいのは何か。
①感情にもろい人は相手の気持ちを悪くさせるようなことはしないだろう。
②理屈では説明できないことも感情に求めればすぐに理解できる。
③人の行動に影響を与えるものは、理性よりも、感情のほうが圧倒的に強いのである。
④感情的になると、物事を客観的に分析することができなくなってしまう。
3、筆者は「叱る」効果について、どのように述べているか。
①人の感情に影響を与えることで、相手の心理負担を高め、行動に変化を起こさせる。
②相手が反発心を起こし、従わないかもしれないので、叱ってもなかなか効果がない。
③違反した人に懲罰を与えることで、自分の態度をはっきり示すことができる。
④相手に対する不快感を呼び起こして、二度と同じことをしないように戒める。