人間は神様ではないのだから、いつも一番正しい考えを持っているとは限らないわけで、ときには自己に執し、他人にとらわれる。そんなとらわれた考えを世の中に押し付けてみたところで、それで通るはずがない。
しかし世の中もなかなか寛大なところがあるから、ある程度までは受け入れてくれる。それでいい気になって調子に乗る。その辺で止めておけばいいものをと思っているうちに、案の定行き詰まる。行き詰まってみて、世の中はなかなか自分の思うようにならないと嘆く。もともと自分の考えがとらわれているのだから、嘆くほうがムリである。
もしも自分の思うようになっていたら、取り返しのつかないことになっていたかもしれない。自分だけならいいけれど、他人にもたいへんな迷惑をかける。
世の中はいい先生である。寛大なところはあるが、最後には正邪をちゃんと弁えている。だから、馬鹿にしてはいけない。筋道の通ったことはやはり通してくれるのである。
なぜ自分の思うようにならないか、もう一度よく考えてみたいものである。
1、「自分の思うようにならないほうがいい」とあるが、筆者がこのように考えている理由は何か。
①自分の思い込みで物事を押し通そうとすると、結局他人に嫌われることになるから。
②物事がすべて自分の思い通りになったら、時には大変なことになってしまうから。
③人間は神様ではなく、自分の思うようになることはあまりないから。
④人々は他人の考えに固執するとき、よく間違った判断を下すから。
2、「世の中もなかなか寛大なところがある」とあるが、何について寛大なのか。
①自分の考え
②他人のやったこと
③自分のやったこと
④他人の考え
3、「嘆くほうがムリである」とはどういう意味か。
①自分の考えが正しくないので、失敗しても嘆くしかない。
②自分の望みどおりにいかないことは、嘆いても仕方がない。
③失敗の原因は自分にあるので、他人のせいにしても無理だ。
④そもそも物事の考え方、やり方が正しくないので、嘆く立場ではない。