(中略)
ところで、モダンデザインの思考では、自然環境からしきられた生活環境をいわば均質でコントロール可能なものとしてデザインしようとしてきた面がある。
先に触れたように、私たちが生活している自然環境は、地域によって差異があり、一律なものではない。モダンデザインは、そうした地域的な差異をできるだけ排除しようとしてきた。たとえば、さまざまな工業製品のことを考えればいいかもしれない。フォードの自動車はどこの地域で生産されても、地域の差異があってはならない。差異をできるだけ排除するという思考は、モダンデザインだけではなく、近代の思考の至るところに見ることができる。個々の差異を無視して行なわれる一律の教育や医療も、そうした近代に特徴的な思考を持っている。
1、「自然空間からしきることによって人工的空間をつくる」とは、どういう意味か。
①自然現象は私たちの考え方に多大な影響を与えてきた。
②地域によって、自然環境も違っている。
③人は自然から身を守るために、空間の「しきり」を作ってきた。
④自然空間の差異によって、住まいのデザインも違っている。
2、「近代に特徴的な思考」とは何か。
①教育や医療は平等でなければならないこと
②生活環境において地域的な差異をなくすこと
③工業製品などは地域の差があってはならないこと
④自分の生活は自分でコントロールできると思うこと
3、この文章で筆者が最も言いたいことは何か。
①人減の感覚や思想などは環境に左右されるもので、違う環境において文化のしきりもさまざまである。
②自然環境は地域によって異なるが、生活環境はなるべく均質化しようとするのが近代的な考え方である。
③人類は自然環境から自分を守るために、多様なしきりを作ってきた。
④自然現象は私たちの生活環境にも考えや意識にも大きな影響を与えている。