初级阅读（455）

Ａ：

　昔から「郷に入れば郷に従え」と言われるが、その国の人々と深く接し、その国を深く理解しようと思えば、そうすることが一番いいと思う。

　もちろん、宗教や思想など個人のアイデンティティーに関わるようなことまで変えろと言っているのではない。しかし、できるだけその国の習慣に従い、その国の人が住んでいる家に住み、その国の人が話す言葉で話すようにすることが大切だと思うのだ。

　以前、アフリカの先住民と暮らした青年のドキュメントをテレビで見たが、彼は正に「郷に入れば郷に従え」を実践していた。彼はその生活の中で、現代人が失ったやさしさや勇気を先住民から学ぶのだが、先住民たちが彼に心を開いたのは、彼が先住民と衣食住の生活を共にしたからである。これは、どの地域や国で生活するときにも必要な教訓だろうと思う。

 

Ｂ：

　私は自分自身の習慣を変える必要はないと思う。なぜなら、私はどこへ行っても私だからであり、どこへ行っても日本人だからだ。

　私は以前、ヨーロッパを旅行したことがある。そのとき私は、どんなレストランへ行っても箸を使って食べた。別に目立とうと思ってやったわけではない。私にとって箸が一番使いやすいからそうしたに過ぎない。もちろん私も、その国の交通規則や法律には従う。だが、自分の生活スタイルまで変える必要があるとは思わない。例えば、世界中どこでもインドの人は民族衣装であるサリー姿で街を歩く。イスラムの人はどこにいてもお祈りを欠かさない。私はそれが自然だと思う。その国に習慣は外国の人に強制すべきものではないからだ。

　国際化が進む今日、人と人はそれぞれの民族や国の文化を認め合い、違いをそのまま受け入れることこそが大切なのではないだろうか。

 

1、ＡとＢの文章で、共通のテーマとなっていることは何か。

①国際化とは何か。

②異文化交流の在り方

③個人のアイデンティティー

④民族の文化と習慣

 

2、Ｂのような考え方を、何と呼ぶか。

①国民主義

②同化主義

③多文化主義

④自由主義

 

3、ＡとＢは、「特定の食べ物が食べられない宗教上の禁忌」のような問題に対して、外国ではどうしたらいいと考えているか。

①ＡもＢも、郷に従う必要があると考えている。

②ＡもＢも、郷に従う必要はないと考えている。

③Ａは郷に従うべきだと考えているが、Ｂは従う必要はないと考えている。

④Ｂは郷に従うべきだと考えているが、Ａは従う必要はないと考えている。