私が母国にいるとき、連続殺人事件をテーマにしたテレビ番組が毎週放送されていた。それは高校生だった私にとっても恐ろしく、夜、悪夢となってうなされるほどだった。これを子供が見ると思うと、考えだけでぞっとする。「殺人事件の番組を見た子供が、全員人殺しをするわけではない」という人もいるが、だからといって、番組をそのままにしておいてよいはずがない。実際、何人もテレビの殺人事件の模倣犯が生まれているのである。
したがって、私は悪い影響や不快感を与える番組を規制する法律があれば、子供たちの健全な心の成長に必ずプラスに働くと思う。
(B)私はテレビの番組を規制するべきではないと考える。いかなる場合でも、国家による報道規制は許されるべきではないと考えるからだ。
確かにテレビ番組の中には、くだらないものも、ひどいものもあるし、子供に悪影響を与える可能性も否定できない。しかし、子供に見せたくない番組がテレビに映ったら、親がテレビを消せば済む。
では、もし表現が規制されるようになったら、どうだろうか。ブラウン管の向こうで、視聴者に見せていいものといけないものが、誰かによって振り分けられることになる。第一、「子供に悪い影響を与える可能性」という基準は極めて曖昧であり、国家にとって都合の悪い作品は、すべて規制される恐れもある。つまり、「表現の自由」がいつのまにか、国家による「規制の自由」になってしまう恐れがある。私はそのような時代が二度と来てほしくないのである。
1、AとBは、テレビ番組が子供に悪い影響を与えることについて、どう考えているか。
①AもBも子供に悪い影響を与える可能性はあると考えている。
②AもBも子供に悪い影響を与える可能性はないと考えている。
③Aは子供に悪い影響を与える可能性はあると考えているが、Bはその可能性はほとんどないと考えている。
④Aは子供に悪い影響を与える可能性はないと考えているが、Bはその可能性は多少あると考えている。
2、Aは「子供に見せたくない番組がテレビに映ったら、親がテレビを消せば済む」というBの意見に対してどう考えているか。
①AもBの言うようにすればいいと考えている。
②AもBの言うようにすることは、そもそも無理な話だと考えている。
③AもBの言うようにしたとしても、ほとんど効果はないと考えている。
④AもBの言うようにできないことはないが、とても難しいと考えている。
3、AとBは、「表現の自由」についてどのように考えているか。
①AもBも、いかなる場合でも「表現の自由」は守られるべきだと考えている。
②AもBも、「表現の自由」は認めるが、その自由は無制限ではないと考えている。
③Aは「表現の自由」にも一定の条件があると考えているが、Bは一切の規制に反対している。
④Aは「表現の自由」より「公共の利益」を重視しているが、Bは「公共の利益」より「表現の自由」を重視している。