初级阅读（503）

（А）「明日の環境問題よりも、今の豊かな生活を」と考えているのは、一人一人の途上国国民であり、この意識を変えない限り、途上国の公害問題は解決できないと思う。

　例えば、途上国の多くの都市では、今も家庭ゴミを川に捨てたり、路上に投げ捨てたりする悪習が残っている。これではゴミの分別回収や再利用どころの話ではない。企業にしても同様であり、経営者は目先の利益ばかりを追いかけており、利潤を犠牲にしてコストのかかる排煙や排水処理のための設備を整えたりすることなど考えられない。誰もが自分さえよければいいと考えているのである。これでは政府がいくら公害防止を呼びかけようが、「笛を吹けど、踊らず」である。

　従って、私は環境問題に対する人々の意識を向上こそ重要であり、そのためには、幼少期からの環境教育が「鍵」だと考える。

 

（B）途上国に住む私たちは空気や水の汚染のひどさは身をもって知っているし、行政も公害対策の必要性も十分に知っている。にもかかわらず、途上国にはそれができない現実がある。

　例えば、途上国の貧しい家庭は生きていくのがやっとの状態であり、汚染されているが安い魚と、汚染されていない高い魚のどちらかを選べと言われたら、生きるためには汚染された魚を選ぶしかない。倒産すれば多くの従業員が路頭に迷う。雇用か環境か、途上国はこのジレンマから抜け出せないのである。従って、先進国からの環境ODАや技術援助抜きに、自国の公害問題さえ自力で解決できないのが、途上国の現状なのである。

 

1、АとBは、同じテーマについて論じているが、そのテーマは何か。

①途上国の公害問題は、どうしてこれほどに深刻化したのか。

②なぜ途上国への環境ODАや技術援助が必要なのか。

③途上国の公害問題の解決のために、何が必要とされているのか。

④途上国の貧困問題は、どのようにすれば解決できるのか。

 

2、Аが、最も重視しているのは、以下のどれか。

①企業の公害対策の取り組み

②子供のころからの環境教育

③公害防止のための市民運動

④政府の環境政策や法整備

 

3、Bが最も強調したいことは何か。

①途上国の空気や水の汚染など公害のひどさ。

②雇用か環境か、経済と環境を両立させる難しさ。

③自力で公害防止対策もできない途上国の貧しさ。

④途上国の人たちの環境意識が極めて乏しいこと。