総体的にみて、日本人ほど情報をすんなり受け入れて、気安く自分のものに同化してしまう民族も少ないと思います。その情報の一般化と、( 1 )の日本化は、他に例を見ません。戦後のあの熱狂的なアメリカ文化と(注1)デモクラシーの摂取は、今の中年以上の人々はよく覚えていると思います。
このすさまじい情報の吸収、咀嚼力は、開発途上国が先進国から(注2)お仕着せに与えられる文化の受け入れ方とは、根本的に違っています。たとえば南米やアフリカ諸国、中近東の国々の人たちは、独自の文化は文化、西欧化は西欧化とはっきり区別しており、表面的には受け入れても、それは与えたほうの姿のままで、ほとんど元の形なのです。シャツーにしても、着ていることは着ていても、文字どおりお仕着せで、自分たちの風土に合わせて改造し、独自なものを作り上げるということをほとんどしない。しかし日本人は、牛のように咀嚼(そしゃく)、反芻(はんすう)して、(2)本来の日本的なものと輸入されたものを渾然(こんぜん)と中和して、自分に一番よいものにしてしまう力を持っている。
(注1)デモクラシー:民主主義。民主政治(注2)お仕着せ:自分の意志とは関係なく、一方的に与えられること。
問1 ( 1 )に入る適当な語はどれか。
1.文化 2.伝統 3.シャツ 4.輸入品
問2 (2)「本来の日本的なものと輸入されたものを渾然と中和して、自分に一番よいものにしてしまう力」と同じ意味でなく使われる言葉はどれか。
1.大同小異 2.一挙両得 3.以心伝心 4.和洋折衷