(注1)ピグミーたちの生活において、大切とされることがいくつかある。そのうちでも特に重要視されることは、食物の分かち合いである。特に肉や蜂蜜などの特別な食物は、一度(注2)キャンプに持ち帰ってきたら、必ずほかの人々にも分配される。猟に参加した人もしなかった人も、みんな、同じように肉をもらうことができる。
ここでは、「働かざるもの食うべからず」という格言は通用しない。同じキャンプでいっしょに暮らしているかぎりは、みんな同じように喜んだり、楽しんだりしなければならない。「お腹がへるときもいっしょ。満腹するときもいっしょ。それが我々の生き方なんだ」と言う。肉の分配は淡々とまったく( 1 )ことのように行われる。肉をもらう人も(1)このように受け取るだけだ。(2)お礼の一言も言わない。あげたほうも、それでまったくかまわない。彼らにしてみれば、いちいちお礼を言わなくちゃならないなんて、(注3)水くさいということなのだろう。キャンプとは、ひとつの大きな家族のようなもので、キャンプのものはみんなの共有財産なのである。
(注1)ピグミー:アフリカ中部の熱帯雨林に住む採集狩猟民。
(注2)キャンプ:野営。野営地。(注3)水くさい:他人のようにふるまう。
問1 (1)には同じ語が入るが、それはどれか。 1.ふしぎな 2.当たり前の 3.よけいな 4.ほんとうの
問2 (2)「お礼の一言も言わない」とあるが、それはなぜか。
1.みんないっしょに働いているから。 2.お礼を言わないのがピグミーの風俗*習慣だから。
3.キャンプでは上下はなく、みんな平等だから。 4.キャンプのものは、みんなのものだから。