◆阿部一族 ~森鴎外
九州熊本の藩主・細川忠利の病死に際し、恩を受けた18人の藩士が殉死する。しかし、当然殉死するはずの阿部弥一右衛門だけは殉死の許可を得ることができず、生き残って新しい藩主に奉公している。しかし、周囲の武士たちからの露骨な批判に堪えきれず、自分の死後、自分の行動や残されたものへの非難を覚悟の上で弥一右衛門は追腹を切る。長男・権兵衛は禄高を減らされ侮蔑を受けたので、忠利の一周忌のとき、まげを切って武士を捨てる覚悟を見せた。藩主はその無礼を怒って彼を縛り首にしてしまう。阿部一族は武士の意地をかけて権兵衛の屋敷にたてこもり反抗するが、討っ手によって全滅させられる。