ある山椒魚が岩屋の中でうっかり2年を過ごし、体が大きくなって出られなくなる。はじめのうちは外を眺め、急流を懸命に泳ぐメダカたちの不自由さを嘲り笑っていたが、岩屋が永遠の棲家(すみか)になったと知って狼狽し、悲嘆に暮れる。やがて1匹のカエルが岩屋の中に紛れ込む。すっかり性質の悪くなった山椒魚は、岩屋の出口をふさいでカエルを閉じ込めてしまう。山椒魚は、閉じ込めたカエルと1年間口論を続け、さらに1年経った今、2匹は岩屋の中で息をひそめて黙り込んでいる。
お若く美しい雪子が、華族出身の御牧(みまき)という男との縁談がまとまり、上京するところで物語は終わる。