◆雪 国 ~川端康成
トンネルの向こうの雪国という幻想的な舞台。無為徒食の主人公・島村は、上越の温泉町の芸者・駒子にひかれて通う。駒子は許婚者の療養費を稼ぐために芸者となったのだが、許婚者を愛してはいない。彼女は悲運にめげることなく、純粋な生を感性のおもむくまま生きている。死が近い許婚者を愛しているのは、実は駒子の妹・葉子だった。島村は、葉子の美しい声とひたむきな生き方の美にもひかれるが、3回の逗留で駒子との交情はいっそう深まる。しかし、美的なものを損なうのを恐れ、彼は駒子と生活的な関係をもとうとはしない。