◆細 雪 ~谷崎潤一郎
時代は昭和11~16年。大阪・船場の豪商・蒔岡(まきおか)家の四人姉妹、鶴子・幸子・雪子・妙子の生活と運命の物語。舞台は、婿養子・貞之助を迎えて芦屋に分家した次女幸子一家が中心。
貞之助夫妻は、無口で縁遠い雪子をひきとってたびたび見合いをさせるが、みな不調に終わって年を経ていく。その間に、ちょっと不良っぽい妙子がひき起こす奔放な恋愛事件がある。世相は日中戦争など険しいなか、貞之助一家は、音楽会・舞の会・芝居・料理屋・春の花見・夏の蛍狩り・秋の月見と明るく華やかな生活を享楽する。昭和16年、35歳になってもなお若く美しい雪子が、華族出身の御牧(みまき)という男との縁談がまとまり、上京するところで物語は終わる。