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NR(ノーリターン)01

时间: 2018-09-30    进入日语论坛
核心提示:0 どこかで音がしてた。 かすかな響き。ブーン、ブーンと、低く、絶え間なく続く。 耳を澄ましていると、少しだけ音が高くな
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 どこかで音がしてた。
 かすかな響き。ブーン、ブーンと、低く、絶え間なく続く。
 耳を澄ましていると、少しだけ音が高くなる。それでいて、しばらくすると元に戻ったりする。
 なんなんだ?
 俺のからだは、すっぽりと包まれていた。柔らかくて、温かくて、安心な何かに。
 まったく、嫌になるぜ。
 それが「ふとん」っていうものだってわかったのは、ずっとあとのことだ。
 光はない。
 そのときは、ただ闇の中、「ふとん」にくるまれて、俺は低い音が響いているのを聞いていたんだ。
 そうするとね、ブーンていう響きの元が、一種類ではないことがわかってくる。
 あちこち違うところで、俺の頭の上のほうや足もと、右側に左側、いろんな方向から似たような音が出ている。
 さっき言ったちょっとした音の変化はさ、いくつあるのかわからないけど、そのひとつひとつのスイッチが、入ったり切れたりする組合せのせいみたいなんだ。
 そのまま、どのくらい時間がたったんだ?
 コツコツ。
 コツコツ。
 いままでとは全然違う、小さくて硬い音。
 コツコツ。
 コツコツ。
 これは、一定の間隔だ。たぶん、遠くのほうから聞こえてくる。
 コツコツ。
 コツコツ。
 それは、次第に大きくなる。
 コツコツ。
 コツコツ。
 強くたたきつけるように響いていた音が止まった。
 そのときには、思ってもみなかったね。こんなもんが、俺にとっての、世界のはじまりとなる音だったなんて。
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