返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 川島誠 » 正文

NR(ノーリターン)42

时间: 2018-09-30    进入日语论坛
核心提示:41 ロッカールームに向かった。 俺のからだは、覚えていてくれなかったのだ。スターティング・ブロックを設置する向きを。つま
(单词翻译:双击或拖选)
 41
 
 
 ロッカールームに向かった。
 俺のからだは、覚えていてくれなかったのだ。スターティング・ブロックを設置する向きを。つまり、それは、スタジアムの走路の方向さえ判断できない、ということだ。
 コーチに言われたら、すぐに、わかったんだけど。
 それは、ドクターの言っていた、手続き記憶とかいうやつの崩壊なんだろうか? あいつが例に挙げてた自転車の乗り方と、ブロックのセッティングはよく似てる。
 記憶のピラミッドのいちばん下だとか言ってたよな。しかも、その手続き記憶が壊れていたらやっかいだって。
 ドクターには、まだまだおかしなことが起こる、それを楽しめって前にも言われた。それが、こんなとこで出てくるなんて。
 俺の名前の書かれたロッカーの扉を開けた。
 着てきた服に着替えようとして、俺は手をすべらせてジャケットを取り落としてしまった。拾おうとした右手が、硬いものに触れた。
 スーパーマーケットの袋に包まれた箱のようなものが、ロッカーのいちばん奥にあった。
「まあ、こんなところに。盲点だったわね」
 俺の後ろで、ゆっくりと、息を吹きかけるようにささやくのは、振り返らないでも誰だかわかる。
 間違えようがない、その独特な鼻にかかったような声は、サリナだ。
 
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%

[查看全部]  相关评论