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黒田如水02

时间: 2018-11-15    进入日语论坛
核心提示:蜂の巣二 全国、どこの城にも、かならず評定《ひようじよう》の間《ま》というものはある。けれどもその評定の間から真の大策《
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 蜂の巣
 
 全国、どこの城にも、かならず評定《ひようじよう》の間《ま》というものはある。けれどもその評定の間から真の大策《たいさく》らしい大策が生れた例は甚だ少ないようだ。多くは形式にながれ、多くは理論にあそび、さもなければ心にもない議決におよそ雷同《らいどう》して、まずこの辺という頃合いを取って散会を告げる。
 三人寄れば文殊《もんじゆ》の智《ち》というが、それは少なくとも一と一とが寄った場合のことで、零と零との会合は百人集まっても零に過ぎない。時代の行くての見えない眼ばかりがたとえ千人寄ってみたところで次の時代を見とおすことは出来ないが、評議となって列座すれば、誰ひとりとして、
(それがしは、めくらである)
 と、いう顔はしていない。
 そのくせ信念もなければ格別の達見《たつけん》も持ってはいないので、ただ自己をつくろうに詭弁《きべん》と口舌《こうぜつ》の才を以てすることになる。従って、評議は物々しくばかりなって、徒《いたず》らに縺《もつ》れ、徒らに横道に入り、またいたずらに末梢的《まつしようてき》にのみ走って、結局、何回評議をかさねても、衆から一の真も生れず、そしていつまでも埒《らち》はあかないという所に陥《お》ちてしまうのだった。
「もう止めい。前夜からの評議というに、そちたちの旨を一わたり訊いてみれば、つづまるところ昨夜の初めのことばから一歩も進んではおらない。……それよりはもう一度、この席へ官兵衛を招いて、篤《とく》と彼の意見を質《ただ》してみてはどうか。かりそめにもわが御着城《ごちやくじよう》の興亡にかかわる大事ぞ。たとえ官兵衛に快《こころよ》からぬ者どもも、日ごろの私心《ししん》や不和などは一切打ち捨てて談合もし結束もしてくれねば困る」
 城主の小寺政職《おでらまさもと》は、並居る一同の上から、ついに長嘆ともいえる語気を以て、こう一先ずいいわたしたところであった。
 それで一応は、日和《ひより》見《み》的《てき》な消極論も末梢的意見も、我意と我意の角突《つのつ》きあいも、鳴りをひそめたかに見えたが、また突如として、
「いや、その官兵衛殿ならば、今も今とて、どこへ参ったか、姿を探しにやっているところでござる。ほかならぬご評議の席を、ご家老たるものが、ひそかに座を外《はず》してしまうなどとは、実に言語道断。あの仁《じん》には、お家の浮沈を憂うるとか、殿の将来を案じるとか、そんな忠義のかけらも心にはないとみえる。ただ大法螺《おおぼら》を吹くだけが能事のおひとらしいて」
 重役のひとりたる陶義近《すえよしちか》が罵《ののし》ると、その列の上座にいた老臣の蔵光正利《まさとし》、村井河内《かわち》、益田孫右衛門なども口をそろえていい出した。
「元来、口さき巧者だが、実のうすいさむらいじゃ。不作法もしかたがない」
「日ごろの不作法はゆるされるが、いったいこのご評議を何だと心得ているのだろうか」
「さればよ、官兵衛どのに、その忠義などを、求めるのが無理であろうよ。われわれ譜代《ふだい》の臣とはちがい、つい父の代からご当家に縁故をむすんだご被官《ひかん》に過ぎぬ」
「そういわれれば、元々、目薬屋の伜どの。ついわれらどもが、ご家老として、重んじるのがかえって、ご本人には、辛《つら》いのかも知れませんな」
 主人をおいて、聞えよがしの私語である。多少、官兵衛に好意をもち、また彼の説を支持している末席の若い武士たちには不愉快なことだった。
 で、耐えかねたか、その辺の席から一名の若い声が、
「宿老方のおことばを遮《さえぎ》って恐れ入りますが、殿の仰せでもあります。ともかく官兵衛どのが見えるのを待って、もう一応、あのお方のご意見をよく問い質《ただ》し、そのうえで如何《い か》ようとも、是非を仰せあるもよし、反駁《はんばく》なさるのも結構だと思いますが、ここは私《わたくし》ならぬ場所です、余りな陰口などはお慎《つつし》みあるべきではございますまいか」
 と、自分の身分に顧慮《こりよ》しながらも勇気をふるって窘《たしな》めた者がある。
 城主の小寺政職《まさもと》は、
(そうだ、よくいうてくれた)
 と感謝しないばかりな眼をして末席の方を見ていた。彼はそれほど自分を主君として重く臨めない人だった。決して暗君ではないし、地方の豪族の主人として教養もあるほうだったが、この世代に一族郎党を統率《とうそつ》してゆくには、多分に欠けているものがあった。大きく今の時流とその作用する分解や再建を観てゆく活眼であった。またその動揺のなかに処して迷わない信念とであった。彼にはそれがない。
 もっとも、この播州《ばんしゆう》にいて、僻地《へきち》の数郡を領すに過ぎない地方の一城主に、そんな達見を望むのは無理だともいえるのである。いま、天正三年という今日のうごきは、余りにも烈しく、また余りにも大き過ぎた。
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