日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 吉川英治 » 正文

上杉謙信29

时间: 2018-11-29    进入日语论坛
核心提示:心林迷風 赤い緒のぷつと断たれた市女笠は、きのうの所に、夜を越えて、露草の中に落ちていた。 けれど、そこの河原から約十町
(单词翻译:双击或拖选)
 心林迷風
 
 
 赤い緒のぷつと断たれた市女笠は、きのうの所に、夜を越えて、露草の中に落ちていた。
 ——けれど、そこの河原から約十町ほど隔てた東南にわたる一帯の草原は、一夜のうちに、まったく景観を変えていた。
 きのう昼のうちから徐々に茶臼山を降りていた武田信玄の総軍は、布施《ふせ》五明、篠井村《しののいむら》をこえて、ここ雨宮の渡しを前に、夜のうちに移行して、今朝見れば、中軍一団をまん中にして、十二軍団を五行に展《ひら》き、
(妻女山の謙信にもの申さん)
 といわぬばかり、無数の旌旗《せいき》を植えならべて、陣々、鮮やかにその旗印《はたじるし》をさえ敵の目に見せつけて来たのであった。
(近々と来つるものかな!)
 と、妻女山でも、今朝は、朝雲の断《き》れ間《ま》に洩る陽に、それを発見するなり、眼をみはり、小手をかざしているにちがいない。
 俄然、甲軍のこの物々しい意志表示に対して、今のところまだ妻女山そのものは、朝霧の中にぼうとつつまれて、夜来の陣営はいと物静かに、殆ど眼醒めているような気《け》はいすら望見できなかった。
 しかも、そこと、こちら側との、距離はといえば、実に近い。
 ここら辺り川幅は広いが、千曲の一水を渡れば、すぐ向うの岸は、妻女山の裾といってもよい。
 それと——
 やがて陽の高くなって来る程、両軍の距離感は縮められて来る。甲軍の旌旗を煙らしていた朝霧も、妻女山の黄葉《こうよう》や緑や紅葉《もみじ》をぼかしていた白い霧も、次第に霽《は》れあがって、お互いの位置から、お互いの哨兵のうごきや繋《つな》ぎ馬の影などが、眺め合えるくらいにまで大気が澄んで来たからである。
 この日も、帷幕《いばく》のうちの信玄は、殆ど、床几に懸りきったまま、敵の妻女山を前に、終日黙想していた。
「……?」
 彼がきのうから抱き通している疑問はなお解決せぬ面持である。すなわち妻女山にある敵将謙信の心だ、その意志だ、またその変であり、信念である。
「彼、そも、如何なる鬼謀神算があって、かかる無謀、かかる妄挙《もうきよ》、かかる不敵を、われに示すか」
 と、怪訝《いぶか》っている信玄であった。
 鳥刺《とりさし》のもちに絡《から》められた鳥のように、彼の心労はなお《もが》かざるを得ない。床几にかまえて、こう泰然とはしているものの、その実、きのう以来、彼の出した幾つかの指令によって、この本陣から別れ去った分隊は、敵の東北へ迂回して、屋代《やしろ》近傍に出たり、北国街道との連絡路を遮断《しやだん》してみたり、更に、上杉方が唯一の助け城と恃《たの》んでいる長野村近傍の小柴にある旭城の味方とのあいだを、真二つに断ち切るような勢いを示して、こう布陣を押出して見せているのに——抑《そもそも》、戦う意志は無いのか、妻女山の無表情は、依然として、きのうも今日も、無表情のままなのである。
 いざと、白刃の真剣勝負を約して、起ち上がってみると、相手は何の身がまえもせず、こちらの剣の鍔下《つばした》まで、ただ歩き込んで来たともいえるような——上杉謙信の態度といえる。
 それが、白痴か、戦さ下手《べ た》な男とでもいうなら、信玄の心労はなかったろう。およそ、戦場において、信玄をよく知る者は信玄の帷幕《いばく》にある者より謙信であった。同時に、謙信の面目《めんもく》を知っている者も、謙信の左右にいる者以上、信玄が詳しかった。
疾《ト》キコト風ノ如ク
徐《シズ》カナルコト林ノ如シ
 自ら掲げて自己の面目としている例の一丈八尺の大軍旗の文字は、信玄の頭上にはためいて、しきりと何事か、暗示しているかのよう思われた。——けれども彼の心は決して、幽林の如く寂《しずか》ではなかった。
 
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%