[書き下し文]子曰く、晏平仲(あんぺいちゅう)、善く人と交わり、久しくして人これを敬う。
[口語訳]先生がいわれた。『晏平仲(あんぺいちゅう)という人は、誰とでも良く交流するが、暫くすると皆から敬意を抱かれる。』
[解説]晏平仲とは、晏子(あんし)として知られる晏嬰(あんえい)のことであり、父親の晏弱と共に大国・斉(せい)の名宰相として知られた。徹底した質素倹約と謙虚な挙措に努めて国を栄えさせた聖人君子として、同時代の君子(為政者)から大きな尊敬を集めていた。晏嬰の字が「仲」、諡が「平」であることから晏平仲と呼ばれた。処世にも優れた晏子は、誰からも好かれ尊敬される儒学の理想に近い人格者であり、国内の権力闘争にあっても多くの敵を作ることがなかった。為政者としての完成を目指す君子の道においても、多くの人と交流して、多くの有益な関係を築き上げることが大切なのである。