[書き下し文]子、陳に在りて曰く、帰らんか、帰らんか。吾が党の小子、狂簡(きょうかん)にして、斐然(ひぜん)として章を成す。これを裁する所以(ゆえん)を知らざるなり。
[口語訳]先生は陳の国でいわれた。『帰ろうよ、帰ろうよ。私の学校(教団)の若者たちは志ばかりが大きく、瞳には美しい模様を織りなしているが、どのように裁断したらよいか分からないでいる。』
[解説]「狂簡(きょうかん)」とは、「狂」が志が非常に大きく威勢が盛んなこと、「簡」が気質に大きな偏りがあり起伏に乏しいことである。「斐然(ひぜん)」とは、色彩が豊かで美しい模様を描いている様子である。孔子が政治改革に失敗して亡命しているときに語った言葉であり、故郷を懐かしく思い出して望郷の念に駆られると共に、教団に残してきた若い生徒達の行く末と教育を心配している。