[書き下し文]子曰く、雍や南面せしむべし。
[口語訳]先生(孔子)が言われた。『雍という男は、人の上に立って指揮ができる人物である。』
[解説]雍とは冉雍(ぜんよう)のことであり、字(あざな)は仲弓(ちゅうきゅう)と言う。春秋戦国時代の礼制では、天子・諸侯・士大夫といった支配階級は南を向いて座り、それらに従う被支配階級は北を向いて座る。その礼制から『南面する』とは有徳の君子が政治を行うことを指し、『北面する』とは有徳の君子を補佐して臣下の礼を取ることを言う。孔子は、弟子の雍(仲弓)を高く評価していたので、雍であれば何面して人の上に立つことが十分に可能であると語ったのである。