[書き下し文]子曰く、徳の脩まらざる(おさまらざる)、学の講ぜざる、義を聞きて徒る(うつる)能わず(あたわず)、不善改むる能わざる、これ吾が憂いなり。
[口語訳]先生がおっしゃった。『道徳の修養ができない、学問の勉強が足りない、正しいことを聞いて心を変えられず、間違ったことをしたと分かっていてそれを改めることができない。これが、私の心配である。』
[解説]この章句は、学問上の不勉強や道徳上の間違いを孔子が非難している部分であるが、この非難・注意が誰に向けられているのかには2つの説がある。一つは、老年の孔子が弟子達の不品行や勉強への熱意の弱さを叱責したというもの、もう一つは老年にいたってもなお、人格や学問を完成できない自分自身(孔子自身)を自己批判したというものである。