[書き下し文]子、喪ある者の側で食すれば、未だ嘗て飽かざるなり。子、是の日に於いて哭(こく)すれば、則ち歌わず。
[口語訳]先生は、喪中の人の近くで食事をする時には、今まで満腹になるまで食べたことはない。先生は葬儀の時に声を上げてないた時には、まったく歌を歌うことがなかった。
[解説]古代中国では、死者の魂魄を慰霊するという意味で葬儀は非常に重要な『礼』の一つであったが、孔子は『形式化した服喪や葬儀』を嫌っていた。親しい人を亡くして服喪している相手の側でおなか一杯になるまで食事をするのは礼に反すると考え、葬儀の席で大きな声を出して泣いた後には、」その『悲しみの感情』をその日一日くらいは持ち続けていないといけない(歌などを歌って楽しんではいけない)と考えたのである。